(※写真はイメージです/PIXTA)
おひとりさまだから、老後もひとりで暮らすという呪縛
「おばあちゃんになったら、みんなで近くに住もう。それで、お互い助け合おう!」
そう話してくれたのは中学時代からの親友です。私には彼女を含め、中学から付き合いが続いている友だちが数人います。かれこれ40年来の付き合いです。そのなかのひとりは結婚後遠方にいて、彼女が帰省するタイミングにあわせて集まれる人だけで集まる、ゆるやかな関係が続いています。年に1~2回顔をあわせる、この変わらない習慣が私には心地よいものです。
12歳で出会った私たちも、気がつけば50代半ば。結婚や出産、子育てを経た人もいれば、離婚を経験した人もいる、そもそもひとりでいることを選んだ人もいる……。それぞれの生き方が交差しながらも、学生時代の休み時間や放課後に交わした何気ない会話が、いまでも再現されるような空気感が私たちの集まりにはあります。
冒頭の一言は、私が老後ひとりで暮らすことへの不安を語ったとき、親友がかけてくれた言葉です。実は彼女も私と同時期に大病を患い、将来の健康に不安を抱えていました。両親を亡くし、兄弟姉妹や子どもがいない彼女にとって、夫が先立ったあとの老後を想像するのは心細いものでした。だからこそ「お互い近くに住もう!」とあたたかい提案をしてくれたのです。
この言葉を聞いたとき、私のなかには「そういう考え方もあるんだ」と新たな視点が生まれました。これまで、この先どうやってひとりで生き抜いていこうかと考えていた私には、頼り合う発想がなかったのです。ひとりでなんとかしなければという思い込みが、いつの間にか自分を縛っていたのかもしれません。でも、長い時間をかけて築いてきた友情があれば、支え合いながら歩んでいく選択肢もある。人生後半戦にきて、そんな友だちがいることを「財産」だとしみじみ感じます。