ふとした瞬間によぎる、「もし、病気になったら……」という不安。頼れる家族がそばにいない「おひとりさま」にとって、それはとても切実な悩みです。しかし、だからといってすべてをひとりで抱え込む必要はありません。血縁にこだわらず、信頼できる友人たちと“ゆるやか”に繋がりながら生きていく――。獅子にひれ氏の著書『定年が気になりはじめた50代おひとりさま女子たちのトリセツ』(ごきげんビジネス出版)より、そんな、心強い「老後の選択肢」について解説します。
老後、ひとりで暮らすのは不安…大病を患った50代おひとりさま女性、将来の“健康”に怯え。40年来の親友がかけた「まさかのひと言」に息をのんだワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

賃貸住宅という選択

賃貸住宅の最大の魅力はライフスタイルの変化に応じて柔軟に住み替えられるよさがあるところ。転職や健康状態の変化、近所付き合いの問題など、さまざまな理由で住環境を変える必要が生じたとき、身軽に対応できます。また、建物の老朽化や設備の故障などは大家さんの責任で修繕してもらえるため、突発的な大きな出費を避けることもできます。

 

しかし高齢になると転居はしにくいです。申し込み時に健康で貯蓄があっても、入居審査が通らない場合もあるといいます。高齢者に多いのが、孤立死のリスク、健康状態が悪化して医療費や介護費などの支出が増え、家賃を滞納するケース。大家さんにとってもリスクが高いと判断されるため、そうした理由から懸念されるようです。

 

定年後も家賃を払い続けなければならないプレッシャーは、年金生活に入ってから重くのしかかってくる可能性があります。

持ち家という選択

持ち家の場合、快適な暮らしを長く楽しめるように思いますし、老後の暮らしへの備えという点から、収入が安定している定年までにローンを完済しておいたほうが安心感が出るでしょう。自分の好みに合わせてリフォームや改装ができることも大きなメリットです。

 

ただし、老朽化してリフォームや修繕が必要になるなど、老後の暮らしのなかで発生してくる資金をあらかじめ計画的に備えておく必要があります。とくに水回りや屋根の修繕、給湯器の交換などは、一度に数十万円から数百万円の費用がかかることもあるでしょう。固定資産税や町内会費などの維持費も継続的にかかってきます。

実家という選択

なかには実家で両親と暮らしている人もいます。住居費をおさえられることや、両親の見守りができることは大きなメリットです。慣れ親しんだ地域で暮らし続けられる安心感もあります。その場合、両親の介護が必要になったときのサポート体制なども考えておくべきです。

 

介護の負担がひとりに集中しないよう、兄弟姉妹や親族との連携、地域の介護サービスの活用なども視野に入れておく必要があります。両親亡き後の住まいをどうするかも重要な検討事項です。