(※写真はイメージです/PIXTA)
3.つながりの準備
3つ目は「人とのつながりを考える」です。スーパーの閉店が「孤立のきっかけ」になる、というニュースに思わず目を引かれてしまったことがあります。ご主人に先立たれ、郊外に住んでいるひとり暮らしの女性が次のように話をしていました。「これまで買いものに行くときは、スーパーでは団地の仲間と世間話をしたり、子育ての悩みを相談したりする情報交換の場でした。それがなくなって、いまでは1日1歩も外に出ない日もあり、誰とも話さない日もあります」と。
「買いもの難民」という社会課題に加え、これでは「つながり難民」ではないかと思いました。長生きする日本人にとって、これまで経験したことがない大きな変化、といえるかもしれません。
年を重ねると足腰が不自由になる、頻尿などの体の不安から外出せず人と会わなくなる、といった深刻な声も聞きます。女性にとって井戸端会議といわれるようなおしゃべりの時間は、周囲と良好な人間関係をつくる大切な時間です。たとえ「おひとりさま」になったとしても、誰かと「つながり」をもつことが必要です。そうすれば、わずかでも会話が生まれ、孤立したり、孤独を感じたりすることは少ないのではないでしょうか。
私にとって家のなかでしか過ごせなかった病気療養期間は、一見すると、体が自由にならなくなった老後生活を疑似体験しているようでした。ですが孤独には陥らず、むしろ世界が広がる経験をしました。それはインターネット、そしてSNSのおかげでした。
オンラインで友だちと会話を楽しみ、SNSを使って多くの新しい出会いに恵まれました。コロナ禍を経てリモート環境が整った恩恵を、このようなかたちで受けるとは思いもよらず、SNSの醍醐味を味わえたことは衝撃的でした。
総務省「通信利用動向調査」によると、いち早く世の中の出来事や動きを知るための利用メディアに、50代は「インターネット」を利用しているのに対し、60代は「テレビ」を最も利用していると回答しています。この結果に世代の分岐を感じました。また、趣味・娯楽に関する情報を得るための利用メディアとして、50代でネットの利用は72.1%と、すでに定着した情報収集手段のひとつとして利用されていることがわかります。
50代のSNS系サービスの利用率を見ると、LINEやYouTubeはほとんどの人が利用しています。とくに女性の利用率が増加傾向のInstagramでは、写真投稿から健康や美容など個人的な体験に基づく情報を参考にしやすいと感じる人も多いのかもしれません。
出典:総務省情報通信政策研究所「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」(令和6年6月)
いまから約20年前にX(旧Twitter)やFacebookが日本でリリースされ、いま50代の私たちは当時30代前半あたりで、比較的新しいテクノロジーにも抵抗なく接することができた年代でしょう。アナログとデジタル両方のよさを知っている私たちなら、便利なツールを使いこなして人とつながり、豊かな時間を過ごせると確信しています。
私がおばあちゃんになっても、スーパーが近くになくても、オンラインで友だちとお茶飲み会をし、ネットショッピングで今晩のおかずを買いものし、マッチングアプリで新しいお友だちを見つけているかもしれない。そのように想像しています。
〈参考・出典〉
厚生労働省「2022(令和4)年国民生活基礎調査の概況」Ⅲ 世帯員の健康状況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ktyosa/ktyosa22/dl/04.pdf 表13、図18参照
総務省情報通信政策研究所「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」(令和6年6月)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000953019.pdf
獅子にひれ
ライター/AFP
※本記事は『定年が気になりはじめた50代おひとりさま女子たちのトリセツ』(ごきげんビジネス出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。