(※写真はイメージです/PIXTA)
50歳を目前に意識した「人生の折り返し」
誰にでも人生の転機となる出来事があります。私の場合、それは予期せぬ病気からのはじまりでした。「自分らしい生き方」に気づくきっかけとなった、必然ともいえる、そして誰にでも起こり得るような私の体験についてお話しさせてください。
40代後半だった私は息子とふたり暮らしで、仕事に追われる毎日を送っていました。当時勤めていた会社は自宅から遠く、往復4時間かけて通勤。そのため自宅と会社を往復するだけの生活を十数年続けていました。休日は家のことに追われるか、疲れ果ててただただ休息するか、いま思うとよくやっていたなと思う生活スタイル。睡眠時間は毎日4~5時間ほどでした。
ちょうど息子の大学卒業を間近に控え、教育費用のおわりが見えはじめてきた頃。私はまもなく50歳という節目を迎え、ふと人生の折り返し地点にきたような気持ちになりました。
山登りでたとえると、見えない山頂を目指していたと思っていたのが「あれ? もしかして、下山している?」と、登りではなく下っていると感じ、その道のりの長さも見えてきたような気がしたのです。これが「人生の折り返し」を意識する、ということなのかもしれません。
そうして「老後資金も、そろそろちゃんと考えないと」と思いはじめるようになりました。それまで30年近く会社勤めを続けてきたなかで、「定年」という言葉がようやく自分事として考えられるようになってきたのです。すると両親の介護も気になります。まだまだ先のことだと思っていた「自分の老後」がリアルなものになってきました。
「定年まであと何年だっけ……そもそも定年まで働くの? 定年まで体力もつかな……」と自問自答するようになりました。