人生を「勉強→仕事→老後」と大きく3つのステージに分けると、50代は「仕事」の後半戦。収入のピークを迎えるものの、パートナーや子どもがいる場合、支出負担も大きい世代といえます。20代で結婚したAさんと30代後半で結婚したBさん2人の事例をもとに、「50代の資産形成」で注意すべきポイントについて見ていきましょう。ファイナンシャル・プランナーの三藤桂子さんが解説します。
給与は増えても「老後」が不安…“折り返し地点”の50代がムリなくお金を育てる方法【FPが解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

ライフイベントが「いつ起きたか」によって、老後のプランも変わる

 

ここまで見てきたように、50代は定年後の生き方・働き方について選択を迫られる年代です。

 

教育費など、負担の大きい支出がいつまでかかるかによって、老後の生活や働き方も大きく変わってきます。晩婚化傾向のいま、定年後まで住宅ローンと教育費に追われる人も少なくありません。

 

一般的に、支出負担の大きいライフイベントとしては、「子どもの誕生(教育費)」、「マイホームの購入」の2つが挙げられるでしょう。子どもの成長に合わせて住宅を購入する人も多く、両者は密接に関わってきます。

 

出費がかさむ時期に自分が何歳になるのか、あらかじめチェックしておきましょう。

 

老後に向けて家計の見直しを検討する

現在、「高年齢者雇用安定法」によって65歳までの雇用機会の確保が義務となり、70歳までの就業機会の確保が努力義務となっています。

 

今回の事例では、AさんもBさんも共通して「定年後も働きたい」との希望を持っていました。老後の生活を豊かにするために長く働くことで、収入の確保と将来の年金額を増やすと考えているそうです。

 

Aさんは、コツコツと同じ会社で働き、安定した収入を得ることで、将来の年金額を増やしています。また、早くに子育てが終了したことで、50代後半は家計に余裕ができ、安定した働き方ができそうです。

 

Aさんのように教育費の支出が早めに終わったのであれば、子どもが独立したタイミングで生命保険の保障内容を見直し、貯蓄性の高い保険に切り替えるのも一案です。資産形成をする際は、なるべくリスクの低い商品を選ぶといいでしょう。

 

一方のBさんは、年金を受給するタイミングまで教育費がかかることから、夫婦のどちらかに万一のことがあった場合、リスクが大きくなります。したがって、夫婦それぞれにリスクに備えた保険が必要不可欠です。

 

夫婦それぞれに収入があるぶん、現役時から資産形成をしていれば、心にゆとりがもてるでしょう。厚生年金保険は上限があるものの、報酬額が高いと将来の年金額も高くなります。

 

教育費の支払いが終わった途端に老後生活に突入することになりますが、独立開業も視野に長く働きたいという希望があるBさん。60代以降は健康に留意が必要な年代ですから、体調管理には十分気をつけてほしいところです。