最近の株式相場は、トランプ米政権による相互関税政策をはじめ、米中貿易摩擦の悪化懸念や中東情勢の緊張、ロシア・ウクライナ戦争などを背景に乱高下を繰り返しています。こうしたなか、「投資はしばらく控えておこう」と考えている人もいるのではないでしょうか。ただ、それは資産形成の機会を逃す悪手かもしれません。実は、先行き不透明感の強い相場環境でも“意外なほどお手軽”に安定的な資産形成が可能なのです。そんな、筆者が考える最強の投資手法について、15年間の証券会社勤務を経て、現在はJ-FLEC(金融経済教育推進機構)の講師としても活動するCFPの倉橋孝博さんが詳しく解説します。※本記事は株式会社セゾンファンデックスが運営する『セゾンのくらし大研究』で8月1日に公開されたものです。
投資のプロが「結局これが最強」と認める“意外なほどお手軽”な投資手法【20年分の大検証】 (※画像はイメージです/PIXTA)

投資の成功率を高める「ドル・コスト平均法」

 

ドル・コスト平均法とは、株や投資信託といった値上がり・値下がりするものへ投資する際、購入単価を下げるために定期的に同じ金額で買い続ける方法です。たとえば、毎月1万円コツコツ買い続けることをイメージするとわかりやすいでしょう。

 

まとまったお金で一度に購入するのではなく、毎月など時期を分散することで、株や投資信託の価格変動に対応できます。毎月同じ金額であれば、株価が安いときは多く、株価が高いときは少ない株数を購入することになるため、結果として1株あたりの購入価格は平均化されます。

 

資産運用は、20年以上の長期投資で成功の確率が高まります。そこにドル・コスト平均法を加えれば、さらに確度が増すのです。

 

たとえば、2003年1月から2022年12月までの20年間(240ヵ月)、毎月末に世界株式で運用する投資信託を、ドル・コスト平均法で1万円ずつ買い続けたケースを考えてみましょう。この場合、トータル240万円の購入額は690万円に増えています

 

途中2008年秋にはリーマンショックに見舞われ、その後4年間世界経済は低迷しましたが、ドル・コスト平均法での投資が好成績の一因であることは間違いありません

※ 参照:金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック」

 

ただし、検証開始時の2003年1月は株価が低かったこと、そして20年後の2022年12月のマーケットは活況を呈しており、株価水準が高く、よりよい結果が得やすい期間であったことは事実です。

 

詳しく見ると、2003年の経済は金融危機の終盤で疲弊しきっていました。実際、2003年1月末の日経平均株価は8,339円と、バブル崩壊後の最安値近辺です。それが、2022年12月末には新型コロナウイルス対策の金融緩和が功を奏し2万6,094円まで上昇しており、20年間で3倍以上になっています。

 

NYダウも8,053ドル(2003年1月末)から3万3,147ドル(2022年12月末)まで上昇しており、こちらはなんと4倍以上になっているので、先ほどの検証結果はある意味当然のことといってもいいでしょう。