人生を「勉強→仕事→老後」と大きく3つのステージに分けると、50代は「仕事」の後半戦。収入のピークを迎えるものの、パートナーや子どもがいる場合、支出負担も大きい世代といえます。20代で結婚したAさんと30代後半で結婚したBさん2人の事例をもとに、「50代の資産形成」で注意すべきポイントについて見ていきましょう。ファイナンシャル・プランナーの三藤桂子さんが解説します。
給与は増えても「老後」が不安…“折り返し地点”の50代がムリなくお金を育てる方法【FPが解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

相談者1.世帯年収720万円、20代で結婚したAさん

 

都内在住のAさんは、専業主婦の妻と2人の子どもとの4人家族です。Aさんは高校卒業後、中小企業に事務職として就職。同級生には転職する人も多いなか、コツコツと同じ会社で働き続けてきました。50代後半の現在、年収は600万円です。

 

Aさんは26歳のとき2つ年下の妻と結婚し、すぐに子どもを授かりました。そのため、第1子が大学に入学する40代前半から第2子が大学を卒業する50代前半にかけて、教育費の負担がピークに。しかし、妻がパートに出て家計を助けてくれたことで、世帯年収は720万円になりました。

 

子どもたちは奨学金を活用しながらストレートで大学を卒業し、就職。ようやく夫婦はひとつの家計負担から解放されたところです。

 

しかし、定年間近のAさんは、今度は自分たちの老後資金について考える必要があります。Aさんは自身の給与が同世代の平均給与まで上がらなかったことから、定年後の暮らしに不安があるようです。

 

50代というのは、会社によっては「役職定年」や「早期退職」を迎え、これからの働き方を選択しなければならない年代です。幸い、Aさんの会社は定年が60歳で定年を迎えたあとも、再雇用として勤務が可能。年収500万円で、65歳まで働くことができるそうです。

 

65歳から年金受給がスタートしますが、さらに働けるのであれば、受給開始を遅らせて増額された年金を受け取る「年金繰下げ受給」制度を活用するとよいでしょう。こうすることで、働けなくなったときの備えになります。

 

20歳より前から厚生年金保険に加入していたAさんであれば、夫婦の年金のみで日常生活を送る分は確保できそうです。

 

Aさんの場合、大きな支出である教育費が50歳前半で終了したことから、老後資金として積立型の資産形成を行うことをおすすめします。