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誰もが直面しうる「夫婦の介護」という現実
日本の高齢化は急速に進んでおり、誰もが介護の当事者になりうる時代を迎えています。内閣府『令和6年版高齢社会白書』によると、日本の総人口に占める65歳以上の人口の割合(高齢化率)は29.1%に達し、過去最高を更新しました。また、2025年には、65歳以上の高齢者のうち約5人に1人にあたる約675万人が認知症になるとの推計もあります。
こうした状況下で深刻化しているのが、「老老介護」の問題です。厚生労働省『2022(令和4)年 国民生活基礎調査』によると、「要介護者等」からみた「主な介護者」の続柄では、「同居する配偶者」が22.9%と最も多くなっています。また田中さんご夫婦のように70代の要介護者に対する主な介護者は70代が最多で、60.8%と6割に達しています。
老老介護は介護者と被介護者の両方が高齢であるため、心身ともに負担が大きく、共倒れのリスクも懸念されます。また、介護者の孤立や経済的な負担も深刻な問題となっています。
一人で抱え込まずに地域包括支援センターやケアマネジャーに相談し、公的サービスを活用することが重要です。具体的には、デイサービスやショートステイなどの利用、ホームヘルパーによる在宅支援、また必要に応じて施設入所も検討します。さらに、近隣住民や家族の協力も得ることで、介護者の負担を軽減できるでしょう。
「施設で他の入居者と楽しそうに歌をうたったり……そんな妻の姿を見ていたら、ここに入れてよかったなと思いました。夫として思い出してもらうことは叶わなくても、お互いに穏やかに過ごせるなら、それでいいんじゃないかと……」
[参考資料]
内閣府『令和6年版高齢社会白書』
厚生労働省『2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況』