(※写真はイメージです/PIXTA)
異常に暑かった夏……浮き彫りになる日本の高齢者の困窮
2025年夏(6〜8月)の日本の平均気温は平年差+2.36度で、これまで最も高かった過去2年の+1.76度を上回り、観測史上最高となりました。冷房なしでは到底生きていけないほど、エアコンがフル回転の夏でした。
一方で、物価高は留まることを知りません。2025年7月の全国消費者物価指数(2020年基準)は111.9で、前年同月比3.1%の上昇でした。翌8月には指数が112.10に達し、伸び率は前年比2.7%に鈍化したものの、上昇基調に変わりはありません。
家計への影響も深刻です。2021年7月、2人以上世帯の平均消費支出は26万7,710円。そして2025年7月は30万5,694円。2021年はコロナ禍という特殊要因下ではあったものの、物価高の影響は甚大です。
そのようななか、年金が頼りの高齢者の生活は苦しさを増すばかり。令和7年の年金支給額は、物価や賃金の上昇に伴い3年連続で引き上げられますが、将来の給付水準を確保するため、物価や賃金の伸びよりも低く抑える措置がとられ、引き上げ率は1.9%。実質的には目減りとなっています。厚生労働省『令和6年 国民基礎調査』によると、公的年金受給世帯において「所得の100%が年金」は4割。「80〜100%」の世帯も含めると6割ほどになります。
年金が頼りでありながら、実質的な減額が続く――。生きていくだけでも精いっぱい、これが日本の多くの高齢者の現状です。
「あのあと、娘から小遣いをもらいました。『少し生活の足しにして』と。娘にも気を遣わせてしまって……情けない。とにかく今は孫の成長が生きがいです。嫌われないよう、気を付けないといけませんね」
[参考資料]
総務省『消費者物価指数(CPI)』
総務省『家計調査 家計収支編』