世間的にも離婚に対する抵抗感は薄くなりつつあるものの、離婚は結婚の何倍もの労力が必要と聞きます。人の気持ちほどやっかいなものはなく、一度こじれてしまうと長い間、負の感情をかかえたまま苦しい結婚生活となってしまうこともあるようです。そこでもめるのが「財産分与」の問題。今回は熟年離婚にいたったある夫婦の事例をもとに、離婚する夫婦の金銭事情のリアルをみていきましょう。山﨑裕佳子CFPが解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
母さんの自業自得だよ…「自宅」と「現金1,000万円」を勝ち取って離婚した54歳・専業主婦、自由と引き換えに失った“大きすぎる代償”に呆然【CFPの助言】
元妻・清美さんの「その後」
一方、息子から聞いた清美さんの現在は、想像以上に悲惨でした。
まず、20年以上専業主婦だった清美さんの求職活動は難航しているといいます。清美さんは有名私大卒で、2年間だけですが一流企業に在籍していました。そんなプライドからか、仕事を選り好みしているということでした。
また、徐々に目減りしていく貯金を目の当たりにして焦りはじめた清美さんは、最近、知り合いにすすめられ知識もないままに投資を始めたそうです。ところが、投資は一足飛びに利益がでるものではなく、手持ち資金はますます心許ない状況となってしまっています。
頼みの綱の息子たちも「母さんの自業自得だよ」と冷たく突き放されて意気消沈。途方に暮れているそうです。
清美さんが30年間の結婚生活をどう捉え、現在どう思っているのかはわかりません。しかし、則正さんは離婚してよかったと心から感じているといいます。
人生の後半戦をどう生きていくのか、子どもの独立や自身の定年退職など人生の節目は、自分自身に問いかけるよい機会なのかもしれません。
山﨑 裕佳子
FP事務所MIRAI
代表