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父のがんをきっかけに露呈した、母の不安
40代でIT系会社員の相川さんは現在、実家まで車で30分ほどのマンションで、夫、大学生の息子、高校生の娘と暮らしている。会社経営をする4歳違いの妹は、3年前に離婚し、現在は実家から車で15分くらいのところで、小学6年生と4年生の娘と暮らしている。
相川さんの父親は73歳、母親は70歳だが、父親は昨年、健康診断で胃がんが見つかり、手術を受けた。
術後は順調に回復し、元の生活に戻ったが、のちに相川さんは母親から「万が一お父さんが亡くなったら、どう生活をしていけば良いのかわからず不安だった」と打ち明けられる。両親は、結婚当初から父親が家計管理をしていたため、母親は貯金や月々の収支のことなどを把握していなかったのだ。
預金額を答えようとしない父…専門家を交え、「家族会議」の場を設けることに
母親の不安を解消しようと思った相川さんは、父親に預金額などを訊ねてみたが、途端に機嫌が悪くなり、家計のことを話題にできなくなってしまう。
そこで相川さんと母親は、知人の紹介で「生前整理診断士」の三浦さんに相談した。三浦さんは2人からヒアリングを行い、「家族全員で今後の人生を考えて、不安に思うことを書き出し、それをどのように解消するのかを話し合いましょう」と提案。
介護、金銭管理、相続税…相川一家の「5つ」の不安
家族会議の場を設け、そこで出された項目を大きなカテゴリーに分けた。
1.両親の介護のこと
2.両親の金銭管理のこと
3.両親の荷物のこと
4.祖父母が眠る墓のこと
5.相続税のこと
両親とも、「娘たちに負担をかけたくない」と思う一方で、「最後まで自宅で暮らしたい」との思いがあることがわかった。相川さんも妹も、「できる限りの支援はしたい」と思っているが、自分たちの生活にいっぱいいっぱいで、両親に割ける時間的余裕がない。
そこで三浦さんは、介護が必要となったら、介護保険を利用しながら在宅で過ごしてもらい、ケアマネジャーから「在宅での介護に限界がきたので、そろそろ施設入所を考えましょう」と話があったら、「再度娘たちの状況を考慮して結論を出してはどうか」と提案。全員一致で方向性が決まった。
その時妹が、「施設に入るお金はどうするの?」と発言。これをきっかけに、父親が認知症になった場合の金銭管理の方法や、家の財産について話をすることになった。