親と折り合いが悪く、大人になってから距離をとる子世代は少なくないだろう。しかし、高齢の親に無策のまま「もしも」のことがあった場合、子世代にはより心身に負担がかかることも。旦木瑞穂氏の著書『しなくていい介護』(朝日新聞出版)より、50代女性の事例をもとに実情をみていく。
父が大火傷を負っても決して帰らなかった50代一人娘、愕然。「至急来てほしい」緊急連絡で、20年ぶり帰省…変わり果てた〈両親の姿〉と〈実家のありさま〉【介護の実態】 (※写真はイメージです/PIXTA)

親と折り合いが悪くても…「後悔しない選択」のために子世代がすべきこと

親と折り合いが悪く、大人になってから距離を置くようになる子ども世代は少なくない。

 

それ自体は仕方のないことではあるが、もしも親に介護が必要な状況になったり、病気や怪我をしてしまった時、親と距離を置いていた自分を責める可能性があるなら、親が定年退職したり、前期高齢者入りしたりしたきっかけで、一度連絡を取ってみることをお勧めしたい。

 

親子の間には長い歴史があり、複雑な感情が絡み合う。それでも、「親だけでなく、自分自身と向き合う」「自分が後悔しない選択をする」。こうした考え方にシフトすることが、高齢の親を持つ子ども世代が、その後の人生をなるべくラクに生きるヒントではないだろうか。

 

櫻木さんは、20年以上も実家に帰省しなかったために、親が2人とも認知症になってから実家を片付けることになってしまった。認知症を患い、84歳という高齢の両親にはもう、実家の荷物を片付けることは難しいだろう。両親はまだ存命だが、実質櫻木さん1人で片付けることになり、生前整理とは言い難い状況になってしまった。

 

 

旦木 瑞穂

ノンフィクションライター/グラフィックデザイナー