「多数回該当」のしくみ

多数回該当のしくみが分かっていると、長期的な医療費の予測がしやすくなります。長期治療の強い味方になってくれる制度です。

治療が長期になる時は「多数回該当」

がん治療は、診断直後から3ヵ月間は検査・手術・入院などで費用がかさむ時期ですが、4ヵ月目以降になると治療の進み方や経済的な負担が変化していきます。

予定していた手術や放射線治療、抗がん剤治療が終了し、経過観察となる方もいれば、通院での抗がん剤治療が続き医療費の支出が続く方もいます。このように長期治療となった場合に適用されるのが「多数回該当」です。

出所:『【図解】医療費・仕事・公的支援の悩みが解決する がんとお金の話』(彩図社)より引用
[図表7] 出所:『【図解】医療費・仕事・公的支援の悩みが解決する がんとお金の話』(彩図社)より引用

手続きは不要なのですが、ちょっと複雑です。理解しておくことで医療費の変動の予測に活用できますので、どのような時に減って、どのような時に増えるのかを知っておきましょう。

直近12ヵ月以内に3回高額療養費に達していたら、4回目以降は約半額(収入区分によっては半額ではありません。図表8~9を参照)になります。

出所:『【図解】医療費・仕事・公的支援の悩みが解決する がんとお金の話』(彩図社)より引用
[図表8] 出所:『【図解】医療費・仕事・公的支援の悩みが解決する がんとお金の話』(彩図社)より引用
出所:『【図解】医療費・仕事・公的支援の悩みが解決する がんとお金の話』(彩図社)より引用
[図表9] 出所:『【図解】医療費・仕事・公的支援の悩みが解決する がんとお金の話』(彩図社)より引用
出所:『【図解】医療費・仕事・公的支援の悩みが解決する がんとお金の話』(彩図社)より引用
[図表10] 出所:『【図解】医療費・仕事・公的支援の悩みが解決する がんとお金の話』(彩図社)より引用

〈よくある質問〉

Q.年収が上がって、9月から高額療養費の適用区分が「エ」から「ウ」に変わりました。多数回該当の回数に影響しますか?

A.高額療養費の自己負担限度額は所得区分によって変わりますが、該当月時点での自己負担限度額に達していれば、多数回該当の回数に入ります。今回の場合は所得区分が変わったとしても自己負担限度額に達していますので影響はございません。
 

出所:『【図解】医療費・仕事・公的支援の悩みが解決する がんとお金の話』(彩図社)より引用
[図表11] 出所:『【図解】医療費・仕事・公的支援の悩みが解決する がんとお金の話』(彩図社)より引用
〈よくある質問〉
Q.加入している健康保険が「協会けんぽ」から「国民健康保険」に変わりました。多数回該当の回数に影響しますか?

A.加入している健康保険が変わると、多数回該当の月数はリセットされます。そのため、「協会けんぽ」に加入していた期間の分は、残念ながら回数は引き継がれません。「国民健康保険」に加入した月から、改めて数え始めることになります。

黒田 ちはる
看護師FP®