日本人の2人に1人が一生涯に一度は罹患するといわれるがん(国立がん研究センター「最新がん統計」より)。そんながんについて、「治療に莫大な費用がかかる」というイメージをもつ人は多いのではないでしょうか。しかし、日本の公的医療保険、特に「高額療養費制度」を活用すれば、自己負担額を大きく抑えることが可能です。看護師FP・黒田ちはる氏の著書『【図解】医療費・仕事・公的支援の悩みが解決する がんとお金の話』(彩図社)より、いざというときのために知っておきたい医療費の基本をみていきましょう。
(※写真はイメージです/PIXTA)
総額100万円の医療費、年収370万円~770万円の人が「高額療養費制度」で軽減できる驚きの自己負担額【看護師FPが解説】
医療費は「高額療養費制度」で抑えることが可能
健康保険によって、医療費は大幅に抑えることができます。ここで紹介する高額療養費制度は、医療費を安くする基本となります。
莫大な額にはなりにくい
「がん治療は高額な医療費がかかる」というイメージを持つ方は多く、診断当初は「治療費を払い続けられるだろうか?」と不安を感じる方も少なくありません。
しかし、過度に不安になる必要はありません。日本には医療費が莫大な額にならないようなしくみがあります。
では、具体的にどのくらいの費用がかかるのかを見てみましょう。
就労世代の実際の負担は3割
まず一番に言及したいのは、健康保険制度(公的医療保険)についてです。
基本的にすべての方は、健康保険に加入されていると思います。ご存じの通り、この制度によって私たちの医療費負担は、実際にかかる費用全体の一部となっています。
健康保険の適用される治療や検査の場合、窓口負担は1~3割です。
年齢によっても異なりますが、就労世代の皆さん(69歳以下)の場合は3割です。手術や抗がん剤などで100万円の医療費がかかったとしても、窓口では30万円の支払いとなります。
