生命保険文化センターの調査によると、夫婦2人が老後にゆとりある生活を送るためには、月々平均で37.9万円が必要とされています。これを年金だけで賄うことができるのはごく一部の限られた人だけでしょう。また、十分な貯蓄があったとしても、場合によっては破産危機に陥るケースも……。退職金を元手に悠々自適な生活を送るはずが、老後不安に直面した男性の事例を紹介します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
あれ、校長じゃない?…「定年退職金2,500万円」「年金月24万円」69歳元校長が“用務員”として母校に舞い戻ったワケ【CFPの助言】
「これくらいなら大丈夫」が命取り
敏夫さんのように、一度に大きな資金を手にした直後は気が大きくなってしまい、根拠なく「これくらい使っても大丈夫だろう」とついつい、大きなお金を使ってしまったというケースは珍しくありません。
また、大金を手にしたことで気が大きくなり、もっと増やそうと正しい知識もないままハイリスクの投資商品に手を出してしまい、後悔しているという話もよく聞きます。
退職後は収入が大幅に減るため、まずは「収支の見直し」が鉄則です。このとき、月単位の収支だけでなく年単位での数字をとらえるようにしましょう。年に数回、数年に1度などの支出が決まっているなら、それらも含めることが重要です。
また、退職後にやりたいこと実現させたいことがあるのであれば、それらに必要な資金も見積もりましょう。
「ゆとり費」を含め支出の予測が立てられたら、90歳くらいまでの収支をシミュレーションします。
その上で資産に余裕があることがわかれば、安心して趣味や娯楽にお金を使うことができます。反対に、先々の資金が枯渇しそうであれば、先回りして「ゆとり費」を見直しましょう。
山﨑 裕佳子
FP事務所MIRAI
代表