35年間地方銀行に勤務し、3,000万円の資産と月20万円の年金で悠々自適の老後が約束されていたはずの柳瀬康夫さん(仮名・65歳)。しかし、定年退職の祝賀会から帰宅すると、妻からの衝撃的な置き手紙が待っていました。「お疲れさまでした。でも、私はもう限界です。さようなら」——。倹約こそが美徳と信じて歩んできた人生で、なぜ妻は去っていったのでしょうか。この悲劇を通して、FPの青山創星氏と一緒に本当に豊かな老後とは何かを考えます。
「さようなら、あなた…」〈年金月20万円〉〈資産3,000万円〉潤沢な資金で定年を迎えた銀行員、祝賀会を終え帰路に着くと…酔いも醒める「衝撃的な置き手紙」【FPの助言】
夫婦のお金の管理で学ぶべき6つのポイント
この事例から学べる重要なポイントを6つにまとめました。
1. お金の管理は夫婦共同で行う:一方が独断で決めるのではなく、定期的に話し合いの場を設ける
2.配偶者の人格と意見を尊重する:専業主婦(主夫)でも、お金の使い方について対等な発言権を持つべき
3.経済的モラハラのリスクを認識する:過度な節約の押し付けや金銭管理の独占は、法的問題に発展する可能性がある
4.資産分割のリスクを理解する:離婚時には結婚期間中に築いた財産の分割や年金分割制度により、老後資金が大幅に減少する可能性がある
5.家族との時間を優先する:仕事や付き合いも大切だが、家族との絆を築く時間をないがしろにしてはならない
6.真の豊かさは家族の絆にある:お金は手段であり、目的は家族全員の幸せであることを忘れてはならない
老後資金の準備は重要ですが、その過程で家族の絆を失っては本末転倒です。お金の価値観を共有し、互いを尊重し合う夫婦関係こそが、本当に豊かな老後を実現する基盤となるのです。
最も大切な教訓は、「お金は使ってこそ価値がある」ということです。自分だけの楽しみにお金を使い、配偶者には我慢を強いるような関係では、どれだけ資産を築いても最後は一人ぼっちになってしまいます。
人生最後の日に「もっとお金を貯めておけば良かった」と後悔する人は少ないでしょうが、「もっと家族と時間を過ごせば良かった」と後悔する人は数え切れません。夫婦で共に笑い、共に楽しめる時間にお金を使ってこそ、真の豊かさが得られるのです。
この記事を読まれた皆さんも、今一度ご自身の家庭を振り返ってみてはいかがでしょうか。お金の管理方法、パートナーとの関係性、家族との時間の過ごし方——。気がつかないうちに、大切な人との絆にひびが入っていませんか。手遅れになる前に、家族みんなで本当の幸せとは何かを話し合う時間を作ることが、何よりも価値のある「投資」になるはずです。
ファイナンシャルプランナー
青山創星