厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況」」によると、日本では同居20年以上の「熟年離婚」が増加しているようです。理由はさまざまですが、なかには自分がした行為の後ろめたさから離婚を切り出すケースも……。55歳女性の事例をもとに、「熟年離婚」が老後の資産形成に与える影響についてみていきましょう。山﨑裕佳子CFPが解説します。
後悔しています…パート先で不倫の末離婚→優しい夫から「現金1,000万円」と「自宅」を奪い取った55歳女性の末路【CFPが警告】
「財産分与」を盾に、妻はマンションと現金を要求
剛さんは「そこまで言うなら」と、離婚を受け入れることに。夫が意外にもあっさりと離婚に応じてくれたことに小躍りした優子さんは、厚かましく財産分与の要求までしはじめました。
岡本家の財産は、資産価値4,000万円のマンションと預金2,000万円です。優子さんは自分がマンションをもらうと主張し、さらに現金も半分分けてと要求しました。
たしかに、婚姻中に形成した財産は夫婦の共有財産ですので、不動産も含めて優子さんには1/2を受け取る権利があります。理不尽とも思えますが、たとえ本当の離婚原因が優子さんの不貞行為であったとしても、財産分与の割合には影響を与えません。
ただし、剛さんは、優子さんの行為によって受けた精神的損害については慰謝料を請求することができます。
しかし、剛士さんは、妻の要求に応じました。慰謝料の請求をすることもなく、マンションと現金1,000万円を渡して家を出たのです。
これ以上ない展開に高笑いが止まらない優子さんは、早速、A氏をマンションに呼び寄せて再婚。一緒に暮らし始めたのでした。
徐々に剥がれだしたA氏のメッキ
ところがほどなくして、優子さんはA氏から「話がある」と言われ、あることを打ち明けられました。
「実はさ……ちょっと借金があって。車のローンなんだけど、金利が高くて無駄に感じるんだよね。一括で返済してスッキリしたいと思ってて……少し融通してもらえないかな?」
A氏のマイカーは、客観的にみて分不相応の高級車。腑に落ちない部分もありつつ、優子さんは「愛しているから」と、カーローンの残債500万円を夫から貰った現金で支払いました。
しかし、A氏から返ってきたのは「ありがとう」のひと言だけ。その後、A氏のメッキはどんどん剥がれていきます。
一緒に暮らし始めて数ヵ月経っても、A氏は生活費をほとんど家に入れません。仕方なく優子さんは、月9万円のパート収入と夫から譲り受けたお金を取り崩して生活するようになりました。
「わたしはパートで、あなたは店長なのに、どうしてお金を入れてくれないの? どこに隠してるの?」