厚生労働省の調査によると、2003年以降、離婚件数自体は減少傾向にあります。一方、データを詳しくみていくと、同居20年以上の「熟年離婚」が増加しているようです。その原因はいったいなんなのか、現在日本で増えている「熟年離婚」の実態と注意点を、具体的な事例をもとにみていきましょう。山﨑裕佳子CFPが解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
解放してください…年収800万円“家族大好き”な55歳サラリーマン、妻からの「離婚宣告」に必死の抵抗→妻が“冷めた目”で告げた「まさかの離婚理由」【CFPが警鐘】
妻から突きつけられた突然の「三行半」
「いままでお世話になりました。離婚してください」
ある日曜日の昼下がり、洋治さん(仮名・55歳)は妻の由美子さん(仮名・53歳)から突然の「離婚宣告」を受けました。
「はぁ?(笑) 変な冗談はよせよ、縁起でもない」と、洋治さんはいったん笑い飛ばしますが、由美子さんの表情は真剣そのもの。それに気がつくと、今度は「どういうことだ? なんだよ、急に」と、言葉に詰まります。
「どういうことって、そのままの意味よ。離婚したいの」
「家族至上主義」だった洋治さん
洋治さんには離婚を要求される理由にまったく心当たりがありません。なぜなら洋治さんは、自他共に認める「家族至上主義」。結婚してから今日までの25年間、なによりも家族を優先して生活してきました。
息子の祐樹さん(仮名)が幼いころは、よく公園でサッカーやキャッチボールをし、小学生に上がってからは家族みんなでショッピングモールやテーマパークに出かけました。息子が大学生になってからも年に2回は家族旅行に出かけていたほか、洋治さんは祐樹さんを連れてゴルフや釣りに出かけています。
祐樹さんは先月、就職を機に1人暮らしを始めましたが、そのときも洋治さんは息子のために率先して引っ越し先のマンションを探してやり、引っ越し業者の手配もしてやりました。
息子が巣立った寂しさもありつつ、子育てが終わったことの安堵感もあり、「今後は夫婦2人の時間を楽しもう」と考えていた矢先の、妻の離婚宣告です。
「なんでだよ? 家族仲よくやっていたじゃないか。俺は由美子のことも祐樹のことも愛してる」
必死に抵抗するも由美子さんの態度は変わらず、冷めた目で洋治さんを一瞥。そのあと、離婚の理由について淡々と語り出しました。