厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況」」によると、日本では同居20年以上の「熟年離婚」が増加しているようです。理由はさまざまですが、なかには自分がした行為の後ろめたさから離婚を切り出すケースも……。55歳女性の事例をもとに、「熟年離婚」が老後の資産形成に与える影響についてみていきましょう。山﨑裕佳子CFPが解説します。
後悔しています…パート先で不倫の末離婚→優しい夫から「現金1,000万円」と「自宅」を奪い取った55歳女性の末路【CFPが警告】
パート先の年下店長と…“身勝手な理由”で離婚を切り出した妻
岡本優子さん(仮名・55歳)は、31歳のときに当時職場の先輩だった4歳年上の剛さん(仮名)と結婚。今年で結婚生活24年目です。ひとり息子は昨年、就職を機に実家を出ており、それ以来夫婦は2人で暮らしています。
剛さんは、とても穏やかで優しく真面目な性格。口喧嘩程度はあったものの、これまでの生活で優子さんに対して高圧的な態度を取ったり、暴力を振るったりしたことは一度もありません。基本的には、「妻に従っていれば家庭は平和」と考えているような人物です。
そんな穏やかな夫婦生活を続けてきた岡本家ですが、2年前から暗雲が立ち込めています。
子育てが落ち着いてから週に3回ほど、スーパーでパートをしている優子さん。2年前に赴任してきた店長のA氏(40歳)と懇意になり、いまも不倫関係にあります。決定打となったのは、同僚の送別会のあと。久々の飲み会で羽目を外してしまい、そのままズルズルと関係が続いています。
最初こそ後ろめたい気持ちがあった優子さんですが、月日が経つとともにその感覚も麻痺。「夫は優しいだけでつまらないのよ。だから、こうなったのも仕方のないこと」と、やがて優子さんは、自分の行動を正当化するようになっていきました。
そして、A氏への思いが募った末、優子さんはある日、リビングでくつろいでいる剛さんに向かって次のように言いました。
「あなたのその態度、もう限界。離婚して」
剛さんはその少し前、知人から「優子さんが若い男性と一緒にいるのを見かけた」という情報を得ていました。しかし、剛さんはそのことを優子さんに問いただすことはしませんでした。「聞かないほうがいいだろう」というセンサーが働いたからです。
そういうわけで、優子さんから離婚を切り出されたときには内心、「とうとう、きたか」と思ったそうです。
しかし、剛さんは平静を装い、冷静な話し合いを提案。しかし、優子さんはボロが出ると思ったのか話し合いを拒否し、感情的に「あなたにはもう愛情はないから」とピシャリ。一方的に離婚届を突きつけました。