母からの頻繁な“おねだり”に不信感…急遽帰省することに

会社員の伊藤裕之さん(54歳・仮名)は、同い年で会社員の妻・久美子さん(仮名)と、高校生の長女との3人家族です。

都内のマンションに暮らしており、世帯年収は1,400万円(裕之さん:約800万円、妻:約600万円)ほど。毎月の手取りは夫婦合わせて約68万円と、教育費や住宅ローンを抱えているものの、生活に不自由のない暮らしを送っています。

また、裕之さんには、地方に離れて暮らす母・節子さん(仮名・79歳)がいます。節子さんは2年前に夫を亡くして以降、年金月約11万円で1人暮らしをしており、心配した裕之さんはそんな母に対し、月5万円の仕送りを続けてきました。

仕送りを始めた最初のころは、「大丈夫よ」「悪いわね」と気丈なそぶりをしていた節子さんですが、ここ数ヵ月は反応に変化がみられるようになりました。

「今月、ちょっと足りなくて……。もし余裕があったら、仕送り増やしてくれる?」

といった内容のLINEが届くようになったのです。

寂しい思いをさせているという罪悪感もあったため、裕之さんは特に理由を確認することなく追加で送金していましたが、そのお願いは月を追うごとにエスカレートしていきます。

「なんで、そんなに足りないんだ……?」

家計にも影響が出始め、しだいに不信感が芽生えるようになった裕之さんは、妻に相談。

「一度、直接様子を見に行ったほうがいいんじゃない?」
「そうだな。会社に話して、少し時間作ってみるよ」

背中を押されるように、裕之さんは有給休暇を取り、“アポなし帰省”を決断。新幹線と在来線を乗り継ぎ、節子さんの暮らす実家へと向かいました。