会議前の「ド忘れ」、プレゼン中の「言葉の詰まり」。それは、単なる疲労や二日酔いのせいではありません。あなたの脳で静かに始まっている恐ろしい病気のサインであり、キャリアを失いかねない「若年性認知症」の入り口です。本記事では、幸町歯科口腔外科医院院長の宮本日出氏が、最新研究をもとに「脳の老化」と「口腔ケア」の密接な関係を解き明かします。
(※写真はイメージです/PIXTA)
恐ろしい…65歳未満の「若年性認知症」が2倍以上増加したワケ 働き盛りの40代後半で罹患、高齢者の倍速で進行。「初期症状は“歯”と密接に関係」【歯科医師が警告】
すでに自覚症状が出ていたら
血液が流れる速度は、太い血管で秒速1mといわれるほど速く、血管の中は「高速道路」状態。歯周病菌は血液に混ざり、この高速道路を使って全身を縦横無尽に駆け巡ります。そして、さまざまな場所で「炎症」という火事を撒き散らし、全身至る所の病気の発症・進行に加担します。
歯周病と関連する病気は認知症だけではありません。糖尿病、心筋梗塞、脳卒中といった命に関わるものもあります。このほかにも狭心症、がん、骨粗鬆症、動脈硬化、早産・低体重時出産など、枚挙にいとまがありません。
では、香川さんのように、歯ぐきから出血して歯周病が始まっている人はなにをすればいいのでしょうか。
全身で発生する数多くの病気は「炎症」が要因の一つになっています。その「炎症」を撒き散らしている歯周病の対策、つまり炎症の火元をしっかりと鎮静すれば、病気の発生をグッと抑えることが可能です。歯科医院で定期的な口腔ケア(口腔メンテナンス)を継続すれば、歯周病対策だけでなく、全身の健康の維持・増進につながります。
つまり歯医者に定期的に通えば、歯周病はもちろん、心臓や脳も守れるということです。でも、多くの人は歯医者嫌いですから「たかが歯、されど歯」を知っている人があまりにも少ないのが残念です。
歯医者は「未来の健康を左右する最も重要な鍵」があるところです。自分の健康に不安を抱えているなら、まずは「行動」を変えて歯医者に通ってみませんか?
宮本日出
幸町歯科口腔外科医院・院長
歯科医師・歯学博士