現役時代、身を粉にして働き、潤沢な資産を蓄えた男性。念願の“隠居生活”で待ち構えていたのは、思いもよらない「老後の罠」でした。息子に経営権を譲った70歳元経営者の事例から、高所得者が老後に陥りやすい「家計破綻」の落とし穴とその対策をみていきましょう。山﨑裕佳子CFPが解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
お前の会社で働かせてくれ…「年金月7万円」「貯金8,000万円」社長の座を息子に譲った70歳元社長、引退後わずか2年で「息子に頭を下げた」まさかの理由【CFPの助言】
誠一さんの「その後」
息子の厳しい言葉に反省した誠一さんは、まず車を売ることにしました。よく考えてみればもうそんな高級車は必要ないのです。また、徐々にではありますが付き合いで行っていたゴルフや会食も減らすことに。以前と同じ生活をしていてはダメだと気がつきました。
自分はまだ70歳、この先何年生きられるかわかりませんが、息子に迷惑をかけるわけにはいきません。幸いにして、健康で持病もなくまだまだ働けます。息子はもう一度働くことを受け入れてくれました。
投資信託についても少し勉強しました。毎月分配型の投資信託の分配金には普通分配金と特別分配金の2種類があり、特別分配金は投資元本の一部から支払われていることを知りました。特別分配金の比率が高くなれば元本は減っていきますが、定期的な分配金は毎月の生活費の補填になっているのも事実です。
したがって、保有している投資信託はとりあえずそのまま持っておくことにしました。仕組みを知っていればそこまで恐れることはないと思えたからです。
生活の見直しで生活費を圧縮し、働くことで収入を増やせていますので以前のような心配からは解放されました。今後はライフプランを立てて今ある資金を計画的に使っていこうと考えているそうです。
山﨑 裕佳子
FP事務所MIRAI
代表