60歳女性が親友に漏らした「夫への不満」

「あら、なんだか元気ないわね、どうしたの?」

昌美さん(仮名・60歳)は、友人の百合子さんに尋ねます。

同い年の2人は、中学生時代からの親友。いまでも半年に1度はランチをしたりお茶をしたりする間柄です。今日のお茶会の場所は、昌美さん宅。百合子さんが「ちょっと聞いてほしいことがあって」と相談を持ち掛け、急遽開催される運びとなりました。

「主人のことなんだけど……2年前に退職してからず~っと家にいるのよ、なんにもせずに」

百合子さんは嫌悪感を顔ににじませ、ポツポツと語りはじめました。

――百合子さんの夫は7歳年上の67歳で、65歳のときに中堅の住宅メーカーを定年退職して以来仕事はしていません。一方、百合子さんはいまも週に3回、スーパーで品出しのパートをしており、月8万円ほどの収入があります。

「朝起きて、私が用意したごはん食べて、新聞読んで、テレビを見るだけの毎日なの。それなのに、私がパートの日でも昼食を準備しておかないと嫌味を言うのよ、ほんとに情けないというか、腹が立つったらないわよ」

溜め込んでいたストレスを吐き出すように、百合子さんは愚痴をこぼします。

しばらく黙って聞いていた昌美さんは、「なるほどね~」とひと口コーヒーを含んだあと、こう言いました。

「いっそ、離婚しちゃえば? 残りの人生、不満ばかりじゃつまらないじゃない。一歩踏み出してみてもいいかもしれないわよ」

45歳のときに離婚をして以来、15年間1人で生活してきた昌美さん。百合子さんは以前から、そんな昌美さんのバイタリティある生き方に憧れていました。

「たしかに住むところさえあれば、なんとかなるかもしれない……」