超高齢社会の進行によって「60歳定年制」は徐々に過去のものとなり、「60歳以降も元気に働き続けて、収入を確保したい」そう考える人は多いでしょう。しかし、その意欲が思わぬ形で裏目に出てしまうことも。今回は、河原優美子氏の著書『知らないと損する!お金の手続き』より、60代以降の働き方を考えるうえで、知らずに損をしないための必須知識を解説していきます。
65歳以降も働くぞ…現役続行予定の定年サラリーマン、「年金全額停止」の悲劇の理由【社労士が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「65歳以降も働くぞ」…意気込む前に「在職老齢年金制度」に要注意

扶養配偶者(国民年金第3号被保険者)が60歳未満の場合、国民年金の加入手続きが必要です。健康保険は変わりません。会社に勤めて70歳になった場合、健康保険料を支払いますが、厚生年金保険料の支払いは終了です。

 

厚生年金保険料を払いながら働くとき(男性または公務員の女性の場合は昭和36年4月1日以前に生まれたひと、女性の場合は昭和41年4月1日以前に生まれたひとは、65歳前から支払われる特別支給老齢厚生年金)、65歳から支払われる厚生年金は給料(標準報酬月額)と賞与によって、年金の全額または一部停止される在職老齢年金制度(在老制度)があります。70歳以降も働くひとの場合、厚生年金保険料の支払いはありませんが、在老制度は続きます。

 

健康保険制度では、すべてのひとが75歳で後期高齢者医療制度に加入となります。後期高齢者医療費の自己負担割合が世帯の所得額によって1~3割です。健康保険医療費制度では、年齢によって医療費の自己負担額に差があります。

 

後期高齢者医療費の保険料は後期高齢者の加入者が支払う保険料徴収の負担に加え、健康保険法・国民健康保険法・船員保険法・国家公務員共済組合法・地方公務員共済組合法・私立学校教職員共済法などが支援金を納付しています。75歳未満の人たちも保険料を負担していることになります。

 

 

河原 優美子

社会保険労務士

 

※本記事は『知らないと損する!お金の手続き年金・社会保険・介護で困らない制度』(ごきげんビジネス出版)の一部を抜粋し、THEGOLDONLINE編集部が本文を一部改変しております。