国民年金は、20歳から加入義務が発生します。しかし「学生で収入もないのに払えるわけがない」と感じるのは当然のことです。だからといって、届いた通知書の無視は厳禁! その行為は、万が一の事故や病気の際にあなたを守るセーフティーネットを失うことにつながります。河原優美子氏の著書『知らないと損する!お金の手続き 年金・社会保険・介護で困らない制度』(ごきげんビジネス出版)より、「学生納付特例」のしくみとその注意点についてみていきましょう。
日本年金機構から届く「一通の封筒」をスルー…年金を親まかせにした子ども、のちに年金機構から届く「恐怖の通知」【社労士が警告】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「学生納付特例」未利用で起こる“深刻な事態”

国民年金は保険と福祉の役割があります。20歳前にケガや病気になったひとや、生まれつき病気があるひとは、20歳になってから障害(基礎)年金を請求できます。

 

たとえば、同じ学生で19歳(国民年金制度加入義務前)と20歳(国民年金制度に加入義務があり、学生納付特例制度の手続きをしていない)のふたりが交通事故にあい、障害を負った場合(障害年金の1級~2級に該当)はどうなるでしょうか。

 

19歳の学生は20歳になると「障害基礎年金(20歳前障害)」を受け取れますが、20歳の学生は条件(納付要件)を満たさないことにより「障害基礎年金(通常)」を受け取れないのです。

 

学生納付特例制度は在学中の保険料の納付を猶予される制度で、手続きをしていない場合、保険料を未納(滞納)しているとみなされます。ただ「手続きしているかどうか」だけ。ほんのひと手間で、一生涯そのときの障害年金は受け取れなくなるのです。その後また違うケガや病気による障害が起きたときは、その状態によって受け取ることができます。お子さまのためにも、ぜひ一緒に手続きをしてください。

 

《ポイント:申請場所・対象者》

〇市(区)役所、町村役場または年金事務所、在学中の学校。郵送も可能。

〇前年の申請する学生の所得条件(家族に所得は問わない)。

〇大学生(大学院)、短期大学、高等専門学校などに在学するひと。

〇夜間・定時制課程や通信課程も含まれる。

 

 

河原 優美子

社会保険労務士

 

※本記事は『知らないと損する!お金の手続き 年金・社会保険・介護で困らない制度』(ごきげんビジネス出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。