学生時代からシニアにいたるまで、我々の人生にはさまざまな「お金の問題」がつきものです。その負担を軽減するための助成金や制度が国には用意されているものの、「申請しないと受け取れないお金」も少なくありません。今回は、社会保険労務士である河原優美子氏の著書『知らないと損する!お金の手続き 年金・社会保険・介護で困らない制度』(ごきげんビジネス出版)より、55歳女性の例から、申請しないと受け取れないお金をみていきます。
知らなかった…55歳女性、「年金定期便」に疑問点。年金事務所で問い合わせ→告げられた「驚愕事実」を80歳母に確認して、さらなる驚愕【社労士が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

学生時代の年金“うっかり未納”に要注意

私(新野ひとみ)は現在55歳。両親(父85歳、母80歳)は元気です。ひとり娘も結婚し、孫が生まれ、幸せな日々を過ごしています。10年ほど前に年金定期便が封書で送られてきましてね、確認してみると「20歳から就職するまでのあいだ未納」となっていたので、気になり年金事務所に聞いたことがありました。

 

「たしか両親が払ってくれたと思うのですが……」

 

「旧姓のお名前を調べてみましたが、納付された記録はありません」

 

後日、母親に聞いたところ「ひとみは大学生だったし、学費の支払いのほかに住宅ローンや親の介護もあって、いろいろ出費が重なって大変だったから、支払っていないよ」と言われました。自分のことを親まかせにしていたから仕方がないことでした。20歳から国民年金を支払う義務があり、当時の私はそれを知らなかったのです。大学生のときは支払いを猶予してくれる制度(学生納付特例制度)がありました。手続きを忘れていると滞納扱いになり、万が一の障害年金を受け取れないこともあります。

 

就職してからは、給料がいくら振り込まれるかを給与明細で確認していました。健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・税金がどれだけ給与から控除されているなんて、まったく見ていませんでしたね。

出産・子育て、「不妊治療」にも給付金が役立つ

私は25歳で結婚しました。結婚すると子育てをしている先輩や友人から「子どもはまだ?」と聞かれ、「子どもがほしいと思ったとき、子どもができないとわかってからでは遅いよ」と言われました。不妊治療したひとに聞くと「費用や時間がかかり大変だった」と言います。

 

《ポイント:不妊治療の一部補助、出産費用、育児休暇の費用》

〇不妊治療が保険適用になるものがある。

〇会社員であれば出産手当金・育児休業給付金などがもらえる。

〇出産・子育て応援交付金(10万円)が支給される(お住まいの自治体で確認)。

〇子ども手当や健康保険負担無料制度などがある。