半農半Xで稼ぐ

半農半Xとは、農業をしながらほかの仕事でも収入を得る働き方です。農家は農閑期に別の仕事をしたため、昔からの働き方ともいえいます。私の甥もセールスや販売員のアルバイトをしているので半農半Xになります。半漁半Xや半猟半Xを実践している人もいますが、ほとんどの人は半農です。

一方「X」にはさまざまな仕事があります。自営業のXには、カフェやレストラン、民宿の経営、パンや工芸品の製造販売、など自分の収穫物を利用する事業が多いようです。

長野県朝日村にある蕎麦の人気店のオーナー夫妻は、蕎麦と野菜を栽培し、味噌も手づくりしています。店は週休3日、寒中休み(2023年は2月と3月)もとっています。仕事も暮らしも楽しまれているようで、いい成功事例といえますね。

雇われ人としてのXは実に多種多様です。高齢化が進む地方は人手不足でフルタイムの求人も多いですが、それでは自然のなかで働けないため、パートタイムの仕事に就いています。農業ヘルパーや収穫物の販売店での勤務、酒造会社などへの季節勤務、除雪作業のアルバイト、などです。

地方らしいのは、高齢者の家の力仕事や高所作業を請け負う仕事で、近くの人に頼まれてスタートし、口コミで顧客が広がっていくパターンが多いようです。自治体から委託を受けて草刈りをしたり、害獣駆除をしたりする人もいます。多少でも力仕事ができれば役に立つのです。

趣味の農業・漁業・狩猟業

貯蓄や年金などで生活費をまかない、第1次産業からの収入をあてにしていない人は私のまわりに多くいます。地方に住む高齢者の多くはこの分類に入ると思います。家のまわりに野菜を栽培する畑をつくるのは江戸時代以前からの生活スタイルで、自家の野菜は買うものではなく、つくるか物々交換で手に入れるものでした。いまも踏襲している人が多いのです。とれたてのおいしい野菜を食べること、親戚に配ることを楽しんでいます。

漁業をするには漁業権が必要ですが、漁船をおりたあとも沿岸で漁を続ける人は多いです。仕事というより趣味といったら失礼でしょうか。

3種の1次産業に取り組んでいる知人もいます。彼は稲作農家ですが、兼業で会社員として働いていました。田畑の仕事はもちろん、冬は猪や鹿を狩りに出かけるのです。30回も出かけたシーズンもあったそうで、獲物は仲間と一緒に捌いて持ち帰ります。ほかに、川釣りをしたり、武道では初心者を指導したり(資格保有)しているようです。

趣味で1次産業をする人は、お金をあまりかけず実益も手にしながら上手に楽しんでいます。収穫物は自家では食べきれないのが農林水産業。おすそ分けをして感謝されています。自然のなかで働き、目に見える成果を得る方法として、目標とする老後資金を蓄えてからら趣味として第1次産業をはじめる選択肢がありますね。老後の時間は十分ありますから。

※FNNプライムオンライン『村に唯一の「薬局」オープン薬剤師が医療過疎地に東京から移住』
https://www.fnn.jp/articles/-/274175

ふくしま ゆきお
昔の楽しみ研究家

※本記事は『定年後を豊かにするシンプルライフ お金・モノに頼らない生活の実現へ』(ごきげんビジネス出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。