保障内容も期間もさまざまで、つい悩みがちな保険選び。知り合いに関係者がいる場合、その人柄や関係性を重視して商品を選ぶという人もいるのではないでしょうか。しかし、商品力ではなく、“人間力”を重視した選択は、あとあと大きな後悔につながりかねません。具体的な事例をもとに、「保険選び」注意点と「保険選びで重視すべきポイント」をみていきましょう。ファイナンシャルプランナーの愛染興希氏が解説します。
信じた私がバカでした…親友から勧められて入った「生命保険」に絶望。世帯年収900万円・38歳サラリーマンが嘆く「15年越しの後悔」【FPが警告】 (※写真はイメージです/PIXTA)

意外と知られていない「変額保険」の落とし穴

投資の側面を持つ変額保険だが、デメリットも少なくない。メリットとデメリットをまとめると、下記のようになる。

 

出所:筆者作成
[図表1]「変額保険」のメリット・デメリット 出所:筆者作成

 

「保障」と「資産形成」の両立が叶うとされる変額保険だが、“どっちも叶う”は“どっちつかず”に陥りやすい。特に、下記にあげる「見えないコスト」の存在が、長期になればなるほど重くのしかかってくるのだ。

 

出所:筆者作成
[図表2]変額保険の主な運用コスト 出所:筆者作成

 

こうした手数料が長期にわたって積み重なることが、元本が育ちにくい最大の要因となる。どんなに市場が好調でも、育った分が手数料で削られていることに気づかない限り、損し続ける構造になっているのだ。

保険で重要視すべきは「人柄」ではなく「数字」

変額保険で痛い目を見たAさんはいま、掛け捨ての保険と、保険ではない投資商品で家計を再構築している。

 

その結果、保険料は月1万5,000円から月1,000円ほどに大幅ダウン。浮いた1万4,000円をインデックスファンドに投資することで、資産形成の効率が格段にアップした。

 

「あのとき“親友だから”という理由だけで保険選びをしましたが、正直ラクしていたのかもしれません。信じた私がバカでした。いまは妻も子どももいる身ですから、家族のお金を守るという意味でも、保険選びは「数字」をみながら吟味する必要があると痛感しています」

 

“正解”にたどり着く近道は、周囲を頼ること

Aさんは、自宅に年に1回届く「運用実績報告書」を見て「なにかおかしい」と感じ、調査を開始。しかし、1人では“わからないことがわからない”という状況であったため、さまざまな立場の人に話を聞いたという。

 

その結果、「保障」と「運用」を切り離し、それぞれ最適な手段を選ぶという結論にたどり着いた。

 

多くの人が「まず自分で調べてみよう」とする。しかし、業界に精通していない人がやみくもに調べても、正解にたどり着くための選択肢の存在すら知らないことが多い。正解を導くための選択肢を見つけるには、「1つの考えにしがみつかないこと」が重要だ。

 

【教訓まとめ】

・保険商品には明確な“差”がある。保障額や運用コストなど、「数字」を見よう

・“どっちも叶う”は“どっちつかず”になりやすい

・運用効率を上げたいなら「保障」と「運用」は分けるべし

・担当者の人柄は大切。でも、お金を守るのは商品そのもの

・わからないときは1人で抱え込まず、専門家に選択肢を広げてもらうことから始めよう

 

 

愛染 興希
ファイナンシャルプランナー