国税庁「令和5年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者のわずか5.5%しかいないとされる「年収1,000万円プレイヤー」。多くのビジネスマンにとって、「年収1,000万円」というのは憧れの数字です。高級車を乗り回し、豪邸に住み、さぞかし豪遊しているのだろう……と思いきや、高収入ならではの“落とし穴”があると、ファイナンシャルプランナーの愛染興希氏はいいます。40代サラリーマンの事例をもとに、本記事で詳しくみていきましょう。
日本の上位5%がこのレベルだと!?…年収700万円の43歳サラリーマン、ヘッドハンティングで「年収1,000万円台」到達に歓喜→給与明細を“思わず二度見した”ワケ【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

ついに大台に乗った…大手からの“引き抜き”に心躍る佐藤さん

――俺もついに、年収1,000万円プレイヤーの仲間入りだ!

 

43歳の会社員・佐藤真一さん(仮名)は、誇らしげに鏡を見つめました。

 

佐藤さんは共働きの妻と10歳の息子と3人暮らしで、都内の中堅IT企業に勤めていました。

 

明るくて体育会系、人当たりの良い佐藤さんは、とあるプロジェクトで係わった外資系企業の担当者と意気投合。プロジェクトが終わったあとも定期的に飲みに行く関係となったその担当者から、その企業で退職者が出たということでヘッドハンティングのオファーが舞い込んできたのです。

 

提示された年収は「1,050万円」。このときの佐藤さんの年収は700万円で、まさかの350万円アップという好条件に舞い上がった佐藤さんは、「これはチャンスだ!」と二つ返事で了承。新天地での仕事をスタートさせました。

 

収入が上がったことで責任のある業務が増え、ストレスも少なくありませんでしたが、年収アップの喜びがすべてを上回りました。

 

「ついに俺も日本で上位5%(※)の人間か……だったら、これくらい普通だろ?」

(※)国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」(2024年)によると、2023年時点で給与所得者6,068万人のうち年収1,000万円を超えている人の割合は5.5%

 

佐藤さんは、かねてから憧れていたロレックスのサブマリーナーを購入。通勤用のスーツも、セール品を漁っていた過去の自分に別れを告げ、オーダーメイドの高級品を新調しました。

 

そして、週末は家族を連れて高級レストランへ。これまでなら「ちょっと高いな」と尻込みしていた店でも、迷うことなく予約します。

 

当然、クレジットカードの請求額は右肩上がりです。しかし佐藤さんは、微塵も焦っていませんでした。

 

「だって、俺は年収1,000万円プレーヤーだからな!」

 

待ちに待った給料日だったが…給与明細を確認して凍りつく佐藤さん

そんな生活を続けていたある日のこと。転職後、初めての給与明細が届きました。

 

「よーし、どれどれ……え?」

 

封を開けた瞬間、佐藤さんの顔が一瞬で凍りつきました。

 

「いやいや、ちょっと待て。日本の上位5%ってこんなレベルなの!? そんなわけないよな!?」