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保険は商品より「人間力」だよ…友人の言葉を信じた結果
38歳のAさんは、妻と子ども1人との3人家族。共働きであることから、世帯年収は900万円ほどある。しかし、貯蓄は思ったほど増えていない――。
Aさんは23歳のときに、保険営業職の友人から「変額保険」を勧められた。変額保険とは、死亡保障のある「終身保険」に、資産形成の要素を加えた商品のこと。保険料の一部を株や債券にまわし、その運用実績によって死亡保険金や解約返戻金の額が上下するのが特徴だ。
「保障もお金を増やすチャンスもあるから、いまのうちに入っておいたほうがいいよ」
「生命保険って結局どの商品も似たようなものだから、 “誰が担当か”のほうが大事だと思う」
相手は学生時代からの親友であり、「人のほうが大事」という親友の言葉を信じたAさんは、言われるがまま「変額保険」に加入。月1万5,000円、15年間で270万円以上を積み立ててきた。
ところが15年後、運用実績をふと見直したときに目を疑った。
「え、解約返戻金280万円!? たったこれだけ? 株価は上がってたよな。15年も積み立てて、利回り1%以下って……嘘だろ?」
営業トークは“人間力推し”だったが、フタを開けてみれば自分の利益はほとんど増えておらず、保険会社だけがしっかり利益を確保していたのだった。
保険営業でよく耳にする「商品より人間力重視」の“真実”
保険営業の世界では、よくこんなことが言われる。
「商品力じゃない。人間力で選ばれるのが本物です」
「どこの会社も似たようなもの。信頼できる担当で決めるのが一番です」
しかし、その言い分を別のジャンルに置き換えるとどうだろう。たとえば医療業界に置き換えると、次のようなことになる。
・優しい医者だが、処方される薬は効果が薄い
・手術はヘタだが、信頼されている、人柄のいい医師である
医師が“いい人”であるだけで、提供される医療の質が低い場合、それでもその病院に通い続けたいと思うだろうか。本当に信頼できる人物であれば、商品の“中身”にこそこだわるはずだ。
つまり、「人間力が高いなら、商品力に無関心ではいられない」のが本来の姿であるべきだといえる。