投資と聞くと「相場の動きを常にチェックしなければならない」といったイメージから、「忙しいし、今はいいかな…」と後回しにしている方もいるのではないでしょうか。そんな方に知ってほしいのが「ほったらかし投資」です。証券会社でマーケットアナリストや先物ディーラーを経験した金融・投資ライターの山下耕太郎さんが「ほったらかし投資」の魅力と具体的な実践方法を解説します。※本記事は、株式会社セゾンファンデックスが運営する『セゾンのくらし大研究』からの転載です。
“待てば海路の日和あり”…気づいたら資産が増えている?「ほったらかし投資」のススメ【投資のプロが解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

ほったらかし投資のメリット・デメリット

(※画像はイメージです/PIXTA)
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ほったらかし投資の大きな魅力は、少額からスタートできる点です。たとえば、投資信託なら1万円程度から始めることができ、なかには100円から投資できる商品もあります。まとまった資金がなくても始められるため、投資に対する心理的ハードルが低く、若いうちから資産形成を行うことが可能です。

 

たとえば給料日に一定額が引き落とされる設定にしておけば、無理なく継続できます。“先取り貯蓄”の感覚で投資に回すことで、生活に支障をきたさず着実に資産を積み上げられるでしょう。

 

銀行預金より高い利回りが期待できる

日本の銀行預金の金利は現在0.2%程度と低く、インフレ率(2025年4月の前年同月比は3.6%の上昇)を考えると実質的にはマイナスです。

 

※ 三菱UFJ銀行「円預金金利」、ゆうちょ銀行「金利一覧

※ 統計局ホームページ/消費者物価指数(CPI) 全国(最新の月次結果の概要)|消費者物価指数 全国2025年4月分

 

一方、ほったらかし投資で活用する投資信託や株式投資は、年率数%〜10%台の利回りを期待できる場合があります。

 

たとえば、年利5%で複利運用した場合、元本は約14年で2倍になります。長期間続けることで“雪だるま式”に資産が増えていく複利の力は、ほったらかし投資の最大の武器といえます。

 

※ 東証マネ部「複利効果がすぐわかる! 資産が2倍になる期間が瞬時に計算できる「72の法則」と「126の法則」」

 

初心者でも手軽に始められる

ほったらかし投資は、投資の専門知識がなくても始められます。投資信託を選べば、プロの運用者が銘柄選びや売買タイミングを判断してくれるのです。さらにロボアドバイザーを利用すれば、あなたのリスク許容度に合わせた最適なポートフォリオを自動で構築・運用してくれます。

 

「何を買えばいいのかわからない」「相場をチェックする時間がない」という人でも、安心して投資を始められるのがほったらかし投資の強みです。

 

“一獲千金”は狙えない…ほったらかし投資の注意点

このように、メリットの多いほったらかし投資ですが、いくつか注意すべき点もあります。

 

まず、ほったらかし投資で扱う株式や投資信託などは、価格変動があるため「元本割れ」のリスクがあります。市場が下落すれば、一時的に投資額を下回ることもあるでしょう。

 

ただし、長期的な視点で見れば、世界経済は成長を続けてきた歴史があります。短期的な変動に惑わされず長期保有することで、このリスクを軽減できるのです。

 

また、ほったらかし投資は短期間で大きな利益を上げるものではありません。一獲千金を狙うのではなく、時間をかけてコツコツと資産を育てていく方法です。

 

FXや暗号資産(仮想通貨)などの短期売買で大きなリターンを狙う投資とは異なり、リスクを抑えながら長期的に安定した成長を目指します。「急がば回れ」の精神で着実に資産を増やしていくことがほったらかし投資の本質なのです。