地球温暖化が叫ばれる一方、2022年は日本各地で豪雪が観測されました。真逆のように思える2つの現象はどのように影響し合っているのでしょう。今後は猛暑だけでなく豪雪や、豪雪による雪崩などにも注意する必要がありそうです。今回は、『47都道府県の怖い地理大全』(彩図社)より一部を抜粋し、温暖化と積雪の関係、雪崩の回避方法を紹介します。
いまの暑さからは想像もつかないが…近い将来、日本の冬が“シベリア並み”に!? 温暖化によって変貌する「日本の冬景色」
雪崩の危険地帯を見分ける方法
雪山で最も警戒すべき災害の一つが雪崩だ。斜面に積もった雪が、何らかの条件で崩れて滑り落ちる現象である。
雪崩は大きく分けて2種類ある。どちらの雪崩も、雪山で警戒すべき脅威だ。
まずは上層部の積雪のみが崩れる「表層雪崩」だ。スピードは最低で時速100キロと非常に速く、雪崩災害による人的被害の大半を占めるという。
次に、地面までの積雪層全体が崩れる「全層雪崩」だ。規模は大きいものの、スピードは表層雪崩より遅い。それでも時速40キロ以上で迫るために、徒歩で逃げるのは困難である。
全層雪崩はクラック(雪のひび割れ)などの前兆が起きるので、予想は比較的容易い。表層雪崩は突発的に発生するため事前予想は難しいが、地形の特徴から頻発箇所を避けることは可能だ。
まず知ってもらいたいのは、樹木の密度が低い場所だ。木々が密集していれば、積雪に対する楔となって雪崩を抑制する効果が期待できる。逆に言えば、樹木が密集していない場所は、雪の支えがないので崩れやすい。樹林の中にぽっかりと広い雪道が現れたなら、そこは雪崩の発生場所か発生しやすい地点であるかもしれない。
もう一つ、斜面の角度にも注意してもらいたい。
表層崩壊は、30度から45度の斜面で起きやすいことがわかっている。斜面上部は上下に引かれ、下部は重力がかかっている。それらに衝撃がかかると、積雪が千切れて雪崩が起きる場合がある。
雪崩研究家の高橋喜平によると、見通し角18度以上の場所までは、雪崩に巻き込まれる可能性があるという。これを「高橋の18度法則」という。
この他には、雪が片方に尖った形(サスツルギ)も要注意だ。これは、強風の発生場所を表している可能性がある。風で雪が下方に流されたことで、「スラブ」という滑落しやすい雪面を形成しているかもしれない。
雪山に行く人にはぜひ、以上の情報を念頭においてほしい。雪崩から逃げるのは困難だが、準備をすれば避けることは可能である。
地形ミステリー研究会
オフィステイクオー