雪崩の危険地帯を見分ける方法

雪山で最も警戒すべき災害の一つが雪崩だ。斜面に積もった雪が、何らかの条件で崩れて滑り落ちる現象である。

雪崩は大きく分けて2種類ある。どちらの雪崩も、雪山で警戒すべき脅威だ。

まずは上層部の積雪のみが崩れる「表層雪崩」だ。スピードは最低で時速100キロと非常に速く、雪崩災害による人的被害の大半を占めるという。

次に、地面までの積雪層全体が崩れる「全層雪崩」だ。規模は大きいものの、スピードは表層雪崩より遅い。それでも時速40キロ以上で迫るために、徒歩で逃げるのは困難である。

全層雪崩はクラック(雪のひび割れ)などの前兆が起きるので、予想は比較的容易い。表層雪崩は突発的に発生するため事前予想は難しいが、地形の特徴から頻発箇所を避けることは可能だ。

まず知ってもらいたいのは、樹木の密度が低い場所だ。木々が密集していれば、積雪に対する楔となって雪崩を抑制する効果が期待できる。逆に言えば、樹木が密集していない場所は、雪の支えがないので崩れやすい。樹林の中にぽっかりと広い雪道が現れたなら、そこは雪崩の発生場所か発生しやすい地点であるかもしれない。

もう一つ、斜面の角度にも注意してもらいたい。

表層崩壊は、30度から45度の斜面で起きやすいことがわかっている。斜面上部は上下に引かれ、下部は重力がかかっている。それらに衝撃がかかると、積雪が千切れて雪崩が起きる場合がある。

雪崩研究家の高橋喜平によると、見通し角18度以上の場所までは、雪崩に巻き込まれる可能性があるという。これを「高橋の18度法則」という。

この他には、雪が片方に尖った形(サスツルギ)も要注意だ。これは、強風の発生場所を表している可能性がある。風で雪が下方に流されたことで、「スラブ」という滑落しやすい雪面を形成しているかもしれない。

雪山に行く人にはぜひ、以上の情報を念頭においてほしい。雪崩から逃げるのは困難だが、準備をすれば避けることは可能である。

地形ミステリー研究会
オフィステイクオー