地球温暖化が叫ばれる一方、2022年は日本各地で豪雪が観測されました。真逆のように思える2つの現象はどのように影響し合っているのでしょう。今後は猛暑だけでなく豪雪や、豪雪による雪崩などにも注意する必要がありそうです。今回は、『47都道府県の怖い地理大全』(彩図社)より一部を抜粋し、温暖化と積雪の関係、雪崩の回避方法を紹介します。
いまの暑さからは想像もつかないが…近い将来、日本の冬が“シベリア並み”に!? 温暖化によって変貌する「日本の冬景色」
ナゼ?地球温暖化で「大雪増加説」
地球温暖化が進むと雪は増えるのだろうか、減るのだろうか。地球全体が暖まるので減ると思いきや、「大雪が増える」という説がある。
2022年12月、新潟市は68センチの最大積雪を記録した。12月としては38年ぶりの大雪だ。新潟県は日本有数の豪雪地帯だが、沿岸部に位置する新潟市内に関しては、雪が少ない。佐渡島が日本海から流れる雪雲を妨げているという説もある。そうした地域で、数十年ぶりの豪雪被害が発生したのである。
この時期は全国的に、豪雪被害が多発していた。翌年1月、北海道小樽市では統計開始以来最大の積雪46センチを記録、岡山県真庭市や三重県津市でも1位を更新した。こうした記録的な豪雪の原因と考えられているのが、地球温暖化による影響だ。
温暖化で北極とその周辺の氷が大量に溶けると、北極海は太陽に広く熱せられる。これにより、海面温度は上昇。海面から発生した熱と大気が、上空の気流を北側に押し上げていく。この影響で、シベリアの季節風が日本に南下したときに寒波を強大化させ、豪雪を発生させる。
加えて、日本海も水温が上昇して蒸発する水蒸気が増加するので、積雲は厚くなる。これらが合わさり、日本への豪雪被害が増えていくといわれている。
気象庁の気象研究所が2023年10月に発表した研究結果によると、2021年11月から翌年にかけては全国的に雪が降りにくい状況だったが、大雪の発生数は全国的に増えている。中でも北陸地方の発生率は、例年の5倍以上だった。2021年度の年平均海面水温は、統計を開始した1891年以降で6番目の高さだった。
温暖化の影響で降雪が増えるかどうか、研究者の間でも意見は分かれている。研究が進展すれば、世界で多発する異常寒波の原因に近づくことができるかもしれない。