「命に関わる危険な暑さ」が連日報道される今夏。「うちの親に限って」「うちの親は大丈夫」と思っていませんか。しかし高齢者の熱中症は、その多くが住み慣れた自宅で発生しています。感覚の鈍りやエアコンの不調に気づかぬまま、静かに命の危機が迫る現実……。本記事では、Aさんの事例とともに、一人暮らしの高齢親の孤独死対策についてFPオフィスツクル代表・内田英子氏が解説します。
(※写真はイメージです/THE GOLD 60編集部)
思わず絶叫…「年金6万円・貯金70円」の78歳貧困父、死去。1年ぶりに訪れた「築45年の実家」で、52歳息子が〈二槽式洗濯機〉の中に見つけた“とんでもないもの”【FPの助言】
「まさかうちが」…突然死は誰にでも起こりうる
年齢とともに高まる「健康リスク」。特に、高齢になると暑い、寒いといった感覚が鈍ってくる方は多いようで、気象庁が警告を発するほどの異常気象が続くいま、自ら危険を察知できないまま、命の危機に直面するリスクが高まっています。
厚生労働省「2024年国民生活基礎調査の概況」によれば、一人暮らしの高齢者世帯数は約903万世帯。全国の5,482万5,000世帯のうち、約16%を占めており、年々増加しています。もはや、孤立死・孤独死が隣り合わせ、という方は特別ではありません。
「普通に暮らしているだろうと思っていた人が、いつの間にか突然……」ということが現実に起きているのです。
熱中症で死んだ父
78歳の父の突然の訃報を受け、1年ぶりに実家を訪れたAさん(52歳)。玄関を開けた瞬間、鼻を突く臭いに異変を感じとりました。部屋の中は蒸し風呂のような熱気。エアコンは壊れ、カーテンも閉められたまま。築45年の木造住宅は、まるで時間が止まったようでした。
父親の死因は熱中症だったそうで、介護サービスのお迎えに来たヘルパーに発見されたとき、すでに亡くなっていたとのこと。
Aさんはまず、和室に向かいました。父親がいつも寝室にしていた6畳間の部屋は布団が敷かれたまま。恐る恐る布団を裏返すと案の定、カビが生えていました。確かにここも匂いますが、もっとほかに強い臭いを放っている場所がありそうです。
次にAさんは台所の奥へ向かいます。だんだんと異臭が強くなってきました。発生元はどこかと探していると……。脱衣所の片隅に置かれた二槽式洗濯機をのぞいた瞬間、Aさんは思わず低く叫び声を上げました。