年金だけで暮らすことが難しい現代の日本では、定年退職後も「再雇用」で働く人が増えています。再雇用の場合、現役時代に比べ給料が減少してしまうケースが一般的ですが、これを補てんする「国の給付金」があると、FPの石川亜希子氏はいいます。62歳男性の事例をもとに、「高年齢雇用継続給付金」のしくみと申請時の注意点について、今年度からの改正点とあわせてみていきましょう。

(※写真はイメージです/PIXTA)
えっ、なんですかそれ?…年収400万円の62歳・再雇用サラリーマン、申請するだけで毎月数万円もらえる「特別な給付金」知らず大ショック【FPの助言】
再雇用で働く62歳男性、生活に不便はないが…
斉藤隆之さん(仮名・62歳)は、新卒から勤めた企業を60歳で定年退職し、その後は再雇用として同じ職場で働いています。現役時代、年収は約650万円でしたが、再雇用になったいまは約400万円です。
妻もパートで働いていることから生活に不便はありません。ただ、趣味を楽しむような理想の老後とはほど遠い毎日です。斉藤さんは支出を気にする毎日に多少の窮屈さを感じながらも、不満を言っても仕方がないと諦めていました。
そんなある日、斉藤さんは駅で偶然の再会を果たします。その相手は斉藤さんが40代のころ一緒に働いていた先輩の高木さんです。
久しぶりの再会を懐かしんだあと、高木さんは斉藤さんに言いました。
「なに? 定年過ぎたのに、まだあそこで働いてんのか! 相変わらず真面目だなあ。じゃあ『高年齢雇用継続給付金』はちゃんともらってるか? もらえるもんもらっとかないと、損だぞ~」
知らなかった…62歳男性が衝撃を受けた「特別な給付金」の存在
唐突に聞かれたその言葉に、斉藤さんはキョトン。
「えっ、給付金? なんですかそれ?」
すると高木さんは、その場でスマホを取り出し「高年齢雇用継続給付金」の概要について説明してくれました。
「あのな、60歳以上で働き続ける斉藤みたいな人に、国が支給してる給付金なんだよ。再雇用で給料が減っても、これでその一部を補ってもらえるんだ。帰ってからでも詳しく調べてみるといい」
(そんなの、誰も教えてくれなかった……!)
斉藤さんはショックを受け、先輩の助言どおり帰宅後詳しく調べることにしました。