(写真はイメージです/PIXTA)
すり抜けられるフィルタリング…家庭で広がる“リテラシー格差”
また、インターネット利用時に有害なウェブサイトやアプリケーションへのアクセスを制限する「フィルタリングサービス」の利用率をみると、未就学児で22.4%、小学低学年で38.7%、小学高学年で47.2%となっている。未就学児においては、親と共用の利用が多い事が、利用率が低い要因として考えられる。実際に同調査のスマートフォン利用形態をみると、自分専用のスマホを所有・利用している割合は、未就学では26.4%程度である。しかし、小学低学年で52.8%、小学高学年で71.5%と、所有率も半数を超える中で、小学低学年で6割、小学高学年で約半数は、フィルタリングの制限なしにスマホを使用していることも明らかになった。
ただ、フィルタリングを利用している家庭においても、YouTubeなどで公開されているフィルタリング回避方法の動画を参照したり、友達に抜け穴を教えてもらう者もいる。実際に、内閣府の「令和2年度青少年のインターネット利用環境実態調査」では、「保護者が設定したパスワードを、保護者の知らないうちに解除したことがある」が 7.9%いたことがわかっている。
情報接触に限らず、子どものアプリのダウンロードやSNSの利用においても、家庭での差がある。前述した総務省の「2022年 我が国における青少年のインターネット利用に係るペアレンタルコントロールに関する調査」によれば、子どものスマートフォン利用でアプリを「本人が自由にダウンロードできる」と答えた割合は未就学で9.0%、小学低学年で11.3%、小学高学年で14.0%と、1割の小学生が自由にアプリをダウンロードしていることがわかっている。
併せて、アプリ・サービスの対象とする年齢や推奨する年齢に関して、「確認しているか、そして確認したものは守らせているか」を聞いているが、未就学~小学生であっても、保護者の32.0~35.0%はアプリ・サービスの対象年齢・推奨年齢を事前に確認していないようだ。
また東京都が行った「令和6年家庭における青少年のスマートフォン等の利用等に関する調査9」によると、約3割の保護者がそもそもSNSに年齢制限があることを「知らなかった」と回答しているなど、監督者の子供のスマートフォン利用に関する関心度が、子どもたちに自由な情報探索環境を与えてしまっているともいえる。
このような、子どものスマートフォンが取り巻く諸問題への関心は、保護者のネットリテラシー向上と共に強まるのだろうか。前述した総務省の「我が国における青少年のインターネット利用に係るペアレンタルコントロールに関する調査」では、「お子様の学齢やインターネット利用状況に応じた、有効なペアレンタルコントロールの取り組みが簡単にわかる“フローチャート式の資料”があると仮定した場合、あなたはそれを利用したいと思いますか?」という問いに対し、全体の40.4%の保護者が「利用したい」と回答しており、一定のニーズが存在することが明らかとなった。子どもの年齢が低いほどその意向が高まる傾向にあり、未就学児の保護者では56.0%が「利用したい」と回答している。
しかし、これは家庭内にすでに独自のルールがあるかどうかによっても傾向に差が見られ、すでに家庭内ルールを運用している保護者の方が、フローチャート資料の利用意向が高いのに対し、ルールが存在しない家庭では利用意向が相対的に低い結果となっている。
8 総務省「2022年 我が国における青少年のインターネット利用に係るペアレンタルコントロールに関する調査」https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban08_03000375.html
9 都民安全総合対策本部「令和6年度 家庭における青少年のスマートフォン等の利用等に関する調査」 https://www.seikatubunka.metro.tokyo.lg.jp/tomin_anzen/about/tyousa-keikaku/tyosa-keikaku/sumaho-tyosa



