「日本一高い山」は知っていても、「日本一遭難の多い山」を知っている人は多くないのではないでしょうか。現在、日本一遭難が多い山と呼ばれているのは、標高わずか599メートルの「高尾山」だそうです。断崖絶壁や厳しい天候の影響もなく、気軽にハイキングができる山として親しまれている高尾山で「遭難者が後を絶たない」のはいったいなぜなのか、『47都道府県の怖い地理大全』(彩図社)よりみていきましょう。
(※写真はイメージです/PIXTA)
標高わずか599メートルだが…東京・八王子の人気行楽スポット「高尾山」の恐ろしすぎる一面。高尾山が「日本一遭難の多い山」と呼ばれる理由
高尾山が現在「日本一遭難の多い山」と呼ばれるワケ
では、いま遭難者が集中している山はどこかというと、意外なことに東京都の高尾山である。
高尾山は、八王子市に位置する標高約599メートルの山だ。断崖絶壁や厳しい天候の影響もなく、気軽にハイキングができる山として親しまれている。入山者は年間約260万人といわれており、世界一の多さを誇る。
ただ、遭難者数は群を抜き、警察庁の公表では2023年度で133名が報告されている。遭難者は、60代以上の高齢者が7割以上を占めるという。現在では、「日本一遭難の多い山」とも呼ばれる。
初心者でも気軽に登れる山で遭難が多発するのは、「油断」のせいである。交通網が整備されていて登山初心者でも手軽にアクセスできるので、準備不足の入山者が後を絶たない。
中腹まではケーブルカーが通り、複数ある登山路のうち初心者向けの1号路は道が舗装されている。しかし、2号から3号路は道幅が狭く、登山経験者向けの4号から6号路は木の根や斜面が多い。そこに迷い込んだ初心者が、転倒や滑落をするケースが多発しているのだ。
標高が低いからといって、準備を怠るのは危険である。