なぜ、母親になった途端にキャリアを諦めるのが当たり前なのでしょうか。女性たちは人生のあらゆる場面で、自分の意欲や能力に蓋をし、「我慢」することを求められがちです。しかし、その根底にある古い価値観や制度に、あなたの人生を委ねる必要はありません。本記事では、伊達有希子氏の著書『夫婦と子ども2人、世帯年収650万円。どうしたら家が買えますか?:マンガでわかる!一生お金に困らないライフプランのつくり方』(大和出版)より、お金とキャリアの呪縛から自由になり、経済的にも精神的にも自立する方法を解説していきます。
「すみません」ばかり言っています…世帯年収650万円・第一線で働いていたバリキャリ妻が“母”になって一変。時短で復職も、職場では〈すぐ帰っちゃう人〉扱いに心痛 (※写真はイメージです/PIXTA)

子どもの教育に最大の投資ができない親は失格ですか?

子どもを一流私立小学校に入れたいのだが、そのためには自分がフルタイムで働かなければ駄目でしょうか、パートでも大丈夫ですか。――といった教育資金づくりのためのご質問をする方が結構いらっしゃいます。

 

「教育に最大の投資をする」のが良い母親であり、「自分の老後のために子どもの教育費を極力抑える」のは親として愛情不足、という想いが根底にあるからですが、その裏には、大学までの費用は親が出すべきものであり、大学まで行かせられないのなら、子どもなど生むべきではないという固定観念があります。この固定観念に縛られている限り、なかなか教育費に関する悩みからは脱却できないといつも思ってしまいます。

 

少し冷静に考えてみましょう。「教育に最大の投資」といっても、実際のところ、子どもを小学校から私立に入れることが最大の投資なのでしょうか? 私立小学校は6年間で1,000万円以上の学費がかかると言われています。誰でも払える費用ではありませんね。

 

学費だけの面で見てもそうですし、小学校から私立となれば、夏休みなどの長期休みには子どもを海外にホームステイや短期留学に行かせるのが当たり前といった環境です。そういった環境に身を置けば、ママ友との交流のお金だって馬鹿になりません。学費以外の教育費がどんどんかかっていきます。現実的に自分の子どもに教育費をいくらかけられるのか、は考えておくべきでしょう。

 

そして、そもそも、子ども自身が小学校1年生から電車に乗って満員電車に揺られて通学することを望むとは限りません。近所の小学校に歩いて通い、放課後は近所の友達と思い切り遊ぶほうが好きな子どもだってたくさんいます。小学校から私立が一番、といった固定観念にとらわれず、視野を広げて人生を俯瞰して眺めることが大切です。実際に必要になるお金を具体的に知り、そのお金を払うことにどこまで価値があるのかといったことも、よく見極めることが大切です。

 

 

伊達 有希子
フィナンシャル・プランナー