バーで雇われ店長として働く36歳女性の「精神的支柱」

小山紀子さん(仮名・36歳)は、都内のバーで雇われ店長として働いています。昼過ぎに起きて夕方から出勤、深夜に帰宅する生活にも、いまではすっかり慣れたものです。

月収は手取り29万円ほど。決して余裕があるわけではありませんが、堅実な暮らしを続け、約150万円の貯金もあります。

そんな彼女を支えていたのが、6歳年下の恋人・金子斗真さん(仮名・30歳)でした。もともとはバーの常連客で、ある日ふとした会話をきっかけに親しくなり、自然と交際に発展したといいます。

金子さんは物静かで人当たりのよいタイプですが、一方でやや優柔不断で、頼りなさを感じる場面も少なくありません。それでも大きな喧嘩はなく、2人は穏やかで慎ましい日々を送っていました。

「特別なことがなくても、一緒にいられるだけで幸せ」

小山さんは、そう心から感じていたのです。

妊娠を報告→年下彼氏の“予想外の反応”に唖然

そんなある日のこと。小山さんは、体調に違和感を覚えました。

「季節の変わり目かな」と思いつつも不安が拭えず、病院で検査を受けてみることに。

すると、まさかの結果に驚きを隠せません。なんと、妊娠していることがわかったのです。

時間が経つにつれ、少しずつ実感が湧いてきた小山さん。頭のなかで「結婚」という2文字が浮かびました。

「斗真くんなら、きっと喜んでくれる」
「これをきっかけに、正式に家庭を築けたら──」

そんな淡い期待が、彼女の心に静かに芽生えはじめていたそうです。

妊娠がわかったその日の夜、小山さんは意を決して金子さんに報告することにしました。食事のあと、少し緊張した面持ちで「実はね……今日、病院に行ったの」と切り出し、検査の結果を伝えます。

すると金子さんは、一瞬固まり目を見開きました。

「えっ……? あ、そ、そうなんだ。おめでとう! っていうか、すごいね……そっか……」

どこかたどたどしく、言葉を選んでいる様子。喜んでいるようにもみえますが、その表情には微妙な戸惑いが混ざっていました。

その日のデートは、いつもよりも早めのお開き。期待していたプロポーズの言葉を聞くことができなかった小山さんは、「次に会ったときに、改めて話をするつもりなのかもしれない」と思うことにしました。