第2の人生を歩みはじめた小山さんの「その後」

一連の騒動が落ち着いた頃、小山さんは再びファイナンシャルプランナー(FP)のもとを訪ねました。今回は「どう暮らしを立て直すか」という前向きな相談です。

FPは、児童扶養手当や医療費助成など、母子家庭を支える支援制度を丁寧に説明。制度の存在に少し安心した小山さんでしたが、FPはこう続けます。

「支援はあっても、シングルマザーの生活は決して楽ではありません。安定した収入を得る努力が大切です」

その言葉を受け、小山さんはまず住居費を抑えるため、住まいを実家に切り替えました。両親も温かく迎えてくれ、お金だけでなく心にも余裕が生まれたといいます。

さらに、バーでの勤務形態は子育てとの両立が難しいと感じ、教育訓練給付金を利用してパソコンの基礎を学び直すことに。職業訓練校での勉強を経て、ハローワークの支援を受け、一般企業の事務職に転職することができました。

子どもの教育費や自身の将来も見据え、FPと定期的に相談を重ねながら、堅実な生活を築いています。

「もう、あのときの私とは違います。この子と一緒に、しっかり生きていきます」

いまや小山さんは、単なる未婚の母ではありません。“たくましい母”として、新たな人生を力強く歩み始めています。

辻本 剛士
神戸・辻本FP合同会社
代表