妊娠をきっかけに結婚にいたるカップルも多い一方、妊娠を伝えた途端に関係がこじれたり、相手が音信不通になるケースも……。裏切られたショックと怒りで復讐心に駆られるかもしれませんが、大切なのは「その後の生活」です。具体的な事例をもとに、母子家庭向けの支援制度やライフプランの立て直し方をみていきましょう。辻本剛士CFPが解説します。※プライバシー保護のため、登場人物の情報を一部変更しています。
許さない…月収29万円・貯金150万円の36歳女性、待望の妊娠も30歳・年下彼氏の対応にブチ切れ→復讐に燃える「未婚の母」の“まさかの行動”に拍手喝采【CFPが解説】
恨みに満ちた母親じゃだめだ…小山さんがはじめた“冷静な復讐”
FPとの出会いをきっかけに、小山さんは少しずつ落ち着きを取り戻していきました。
「私が子どもを守らなきゃ。恨みに満ちた母親の姿なんてみせられないわ」
一時は怒りに任せて復讐を考えていた彼女でしたが、第三者と向き合って話すことで、ふと大切なことに気づきます。小山さんは考えを改め、助言をもとに冷静に法的手続きを進めることにしました。
まず、共通の知り合いをたどって調査を進めた結果、金子さんの居場所を特定することに成功。その後は弁護士を立て、金子さんの両親も交えて話し合いの場が持たれました。
金子さんは、妊娠を知ったことで現実の重みに耐えられず、恐怖から逃げ出してしまったようでした。
交渉の結果、子どもが成人するまで、小山さんに対して月6万円の養育費を支払うことが決定。さらに、支払いが滞ることのないよう、金子さんの両親が連帯保証人となることにも同意しました。1つの大きな壁を乗り越えた瞬間です。
「たとえ未婚の母でも、私は強く生きるって決めたんです」
数日後、いつものバーでのこと。彼女が常連客たちにこれまでの出来事を笑顔で語ると、店内には思わず拍手が起きました。
小山さんのこの言葉に、迷いはありません。
母子家庭が頼れる「公的支援」の存在
日本では昨今、3組に1組の夫婦が離婚するともいわれており、「離婚後、どのように生活を立て直すか」が非常に重要な課題となっています。
特に、母子家庭として生活を送る場合、経済的・精神的な負担が大きくなりやすいため、国や自治体が用意している支援制度を上手に活用することが欠かせません。
母子家庭が利用できる主な公的支援制度は以下のとおりです。
・児童手当
・児童扶養手当
・母子家庭住宅手当
・ひとり親家族等医療費助成制度
・こども医療費助成制度
・母子父子寡婦福祉資金貸付金制度
また、国の制度に加えて、自治体ごとに独自の支援メニューを設けている場合もあります。
たとえば、岡山県倉敷市では「ひとり親家庭等日常生活支援事業」を導入しています。これは、病気や急な用事、育児負担などにより日常生活が困難な場合、家庭生活支援員を派遣してくれるサービスです。
具体的には、以下の支援が受けられます。
・食事の支度および片づけ
・住居の掃除および整理整頓
・衣類などの洗濯
・その他日常生活に必要な用務
なお、地域ごとの制度は内容が異なるため、お住まいの市区町村の福祉窓口やホームページで詳細を確認することをおすすめします。