高齢者の社会活動への参加状況と参加による効果

就業とは異なる方法で社会と関わる手段として、高齢者の社会活動への参加状況を見てみましょう。

「過去1年間の社会活動への参加」状況を令和4年版高齢社会白書の「〈特集〉高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査(3)」から見ると、65歳以上で社会活動に参加した人は51.6%と半数を超えていました。

具体的にどのような活動に参加しているのかについては、「健康・スポーツ(体操、歩こう会、ゲートボールなど)」が27.7%、「趣味(俳句、詩吟、陶芸など)」が14.8%、「地域行事(祭りなど地域の催しものの世話など)」が13.2%、「生活環境改善(環境美化、緑化推進、まちづくりなど)」が10.1%でした。

また、これらの社会活動に参加している人たちと参加していない人たちそれぞれに「生きがいを感じる程度について」聞いています。結果は、生きがいを「十分感じている」と回答した割合が、社会活動に参加している人たちは30.1%、「多少感じている」も含めると84.7%でした。

参加していない人たちは、生きがいを「十分感じている」と回答した割合が16.4%、「多少感じている」も含めると61.7%となり、社会活動に参加した人のほうが生きがいを十分に感じている割合が高いことがわかりました。

「社会活動に参加して良かったと思うこと」の理由を見ると、「生活に充実感ができた」が48.8%、「新しい友人を得ることができた」が39.1%、「健康や体力に自信がついた」が34.8%、「地域社会に貢献できた」が32.4%と続いています。

これらの統計資料からは、シニア世代が自分にあったさまざまな社会活動へ参加することによって生活に充実感を得たり、友人関係を築いたりしている様子が感じ取れます。

高齢者の就業状態や社会活動への参加状況などの調査結果から、シニア世代による現実の働き方や社会との関わり方が見えてきました。どうやらシニア世代は社会と良好な関係を築くために、できるだけ長く仕事を続け、さまざまな社会活動に参加することで心理的な成功や幸福感を追求しているようです。

どうぞ読者の皆さまも、自分にあった仕事や社会活動を焦らず時間をかけて探してください。

以上「仕事」について、近年の高齢者の就業状態とその目的、社会活動への参加状況と効果、などについて見てきました。読者の皆さまのセカンドライフにおける仕事観・社会活動観にも、さまざまな視点や示唆が得られたものと思います。

■令和5年版高齢社会白書、第2節 高齢期の暮らしの動向 2024年9月アクセス
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2023/zenbun/pdf/1s2s_01-3.pdf

■令和4年版高齢社会白書、<特集>高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査(3)より
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2022/zenbun/pdf/1s3s_03.pdf
2024年9月アクセス

山口 一夫
ライフデザイン講師