ひろ子さんの「その後」

1週間後、ひろ子さんから連絡がありました。

「あの日一緒につくったキャッシュフロー表を見せながら、『資金の援助を少し減らしたい。毎年の旅行も、これからは全額は出せない』って言ったんです。

そしたらね、『そんな状況なら、早く言ってくれればよかったのに』『私たち、お母さんに甘えちゃってたかも。ごめんなさい』って……。生活費の援助は今後必要ないよって言ってもらえました。

これからはきちんと家計簿をつけて、子や孫に迷惑をかけないようにお金を管理していきます」

ひろ子さんは明るい声色でそう話してくれました。キャッシュフローの改善が実感できた暁には、住宅資金の援助や教育資金の援助を検討したいそうです。

まずは自分の生活を最優先に

いくら愛する子や孫とはいえ、家族にお金を使いすぎて、自分の老後資金が不足するようなことになっては本末転倒です。かえって子どもたちに迷惑をかけてしまうことになるかもしれません。子ども側も、親の資産状況を知らないまま親に甘え切っていると、あとで大きなしっぺ返しを受けることになるかもしれないのです。

とはいえ、たとえ親子関係が良好であっても、双方でお金の話は切り出しにくいということもあるでしょう。そんなときは、今回のように専門家を上手に利用して根拠を示すとスムーズに話ができるかもしれません。

山﨑 裕佳子
FP事務所MIRAI
代表