“サービス精神”がアダに…子や孫への「衝撃の援助額」

その結果、ひと月あたりの生活費は平均20.5万円(年間246万円)であることがわかりました。ひろ子さんの年金は月20万円(年間240万円)ですから、生活費はほぼ年金収入の範囲内に収まっています。

年単位の支出としては、住宅関連費と車両費、社会保険料、医療保険料がありました。これらに子世帯への援助(生活費の送金)を加算すると、1年間で90万円ほどになります。

しかし、先述したように、ひろ子さんの預金口座からは年間200万円程度のお金が減っています。これはつまり、子世帯との家族旅行や外食費、遊興費に毎年110万円ほど使っていることを示しています

「まあ……そんなに使っていたんですね」

この結果をキャッシュフロー表に落とし込み、毎年同額を使い続けた場合の25年後の預金額を可視化すると、ひろ子さんの表情が曇りました。

「私は長生き家系だからこのままでは心配です。どうしよう……」

それでも援助をやめられない理由

娘家族・息子家族の状況を詳しく聞いたところ、子世帯がお金に困っている様子はありません。

ただ、夫の遺産を相続した当初に大盤振る舞いをしてしまったため、いま援助をやめると子や孫の期待を裏切ることになると心配しているようでした。

「ケチだと思われたくないんです。長いあいだここまでやってきてしまって、いまさらやめたら子どもや孫からなんて思われるか……」

ひろ子さんが、子や孫と良好な関係を保ちたいという気持ちもわかります。しかし、このままではひろ子さん自身の家計が破綻しかねません。

そこでFPは、援助をすべてやめるのではなく、半分にすることを提案。試算では援助を半分にするだけでもキャッシュフローは格段に改善しました。

また、しばらく使わないお金については、リスクのある運用は避けたいというひろ子さんの意向を鑑み、普通預金を定期預金や個人向け国債に預け替えることを提案しました。

そのほか、ひろ子さんは子世帯との同居を考えていなかったため、一般的な施設介護にかかる費用についても説明。自身が置かれている状況を可視化したことで、ひろ子さんも状況が整理できたようです。

「援助をやめなくても、減らすだけでいいんだ……。子どもたちに勇気を出して伝えてみます」