社会において適材適所を見つける

以上、社会全体としてミドル・シニアの流動性を高める必要性は、これでお分かりいただけると思います。「社会レベルでのジョブローテーション」とは、社内でジョブローテーションが適材適所を生み出すように、社会での適材適所を見つけられるようにすることです。一企業内よりも社会全体で考えたほうが、その多様性からマッチングの確率は高くなるはずです。

例えば、特定の企業では行わなくなった事業も、社会全体で見ればニーズがあり、存続しているケースは少なくありません。社会レベルでのジョブローテーションがあれば、特定の企業に存在していた知的資本を死蔵、失わせてしまうことを防げます。この社会レベルでのジョブローテーションは、転職の促進と同じではないかという意見があるかもしれません。しかし、転職はあくまで個人と個社の個別的な活動です。社会全体として、ミドル・シニアが企業横断的に仕事を選びやすい状況を創り上げることが必要と考えます。

宮島 忠文
株式会社 社会人材コミュニケーションズ 代表取締役社長

小島 明子
株式会社日本総合研究所 創発戦略センター スペシャリスト