就職氷河期を経験した中年はいま定年退職を控え、定年後の生活について考えています。選択肢のひとつである再雇用ですが、現場では「あまり歓迎されない」という現実も。『今日、50歳になった 悩み多き13人の中年たち、人生について本音を語る』(彩図社)著者でルポライターの増田明利氏は、50歳~54歳の5人にインタビューを行いました。50代男女の“生の声”を聴いてみましょう。
もっと会社にいたかったな…年収450万円なら20年で9,000万円「都内にマイホームが買える金額」を“暗黙の了解”で手放した54歳・氷河期世代の後悔
歓迎されない“再雇用”…職場で嫌われないための3つのポイント
田淵:少し前に定年退職したらパン屋さんを開業したいと話したことがあるんですが、絶対にダメと反対されました。素人商売が成功するわけないと怒られた。やっぱり残るしかないと思います。
望月:わたしはずっと小売業でしょ。土日祝日、お盆休みに年末年始は書き入れ時なので休めたことが少ない。子どもの運動会とか学芸会などにも行けないことがあったんです。なので次はカレンダー通りに暮らせる仕事が良いと思ってるんです。再雇用になっても賃金は4割以上カットされるのでもういいです。
菅原:会社の本音はもういいでしょ、外で活躍してくださいだと思う。
早瀬:再雇用の人って基本的に歓迎されないよね。うちの元部長なんですが、定年でやっといなくなってくれたと思っていたら再雇用3年目の今年にまた同じ職場に戻って来たんです。一昨年、去年は別の部署にいたんだけど本人の希望で元の職場で補助的な業務をやるようになったわけなんですが。
田淵:いろいろやらかしてくれるんでしょ。うちも似たようなものですよ。
菅原:ラインから外れているので怖いものなし。給料は定年前の半分以下になったものだから「やってられねーよ」とあからさまに不満や嫌味、愚痴を撒き散らす。働かせてもらえるだけでありがたいと思わなくちゃ。
早瀬:いつまでも上司面して余計なアドバイスをしてくるんですよね。しかも、そのアドバイスが時代遅れでピントずれまくり。こんな塩梅でしょ。
安田:再雇用を希望する人は家に居場所がない、趣味や楽しみがない、自分は慕われていると誤解している。そういう人が多いと夫が言っていたことがあったな。
望月:実に鋭い。ご主人はよく観察していますよ、わたしもそう思う。
菅原:再雇用で残るなら先輩面しない、職場の雰囲気を壊さない、余計なことを言わない。嫌われないようにしないと駄目ですね。
安田:参考になるわ、夫に話しておきます。