定年を数年後に控え、「そろそろ老後資金の確認を」と通帳を手に取った地方のメーカーに勤める会社員の松田さん(57歳)。ところが、そこに記載されていた残高は自身の想定を大きく下回るものでした。家計管理は長年妻に任せきりで、収支の詳細を把握することなく過ごしてきた日々。その「無関心」が老後の生活設計を狂わせてしまうことに……? 今回は松田さん夫婦の事例を元に、夫婦の家計管理における注意点と解決策について、CFP®の伊藤寛子氏が解説します。

(※写真はイメージです/PIXTA)
堅実にやってきたはずなのに、なんでだよ…年収700万円・57歳の会社員、妻の差し出した通帳に絶句。定年まであと3年、安泰の老後が揺らぐ「まさかの事態」【CFPの助言】
夫婦の家計管理における3つの注意点
夫婦の家計管理のスタイルには、共通口座で一緒に管理、別口座で役割分担、そのハイブリッドスタイルなどがありますが、共通する注意点は以下の3つです。
(1)家計の「見える化」ができていない
お互いの口座や支出内容が不明瞭なままでは、家計の全体像がつかめません。
(2)目標の共有がない
「毎年いくら貯める」「このために使う」といった目標が話し合われていないと、ゴールを見失いやすくなります。
(3)コミュニケーション不足
「お金の話は言いづらい」と避けているうちに、認識のズレが大きくなってしまいます。家計管理を一方が担うこと自体に問題はありませんが、「任せる=無関心」となってはいけません。家計がブラックボックス化しないよう、定期的に状況を共有し、協力して家計の見直しや将来設計を進めていくことが重要です。