「信頼して任せていたつもり」が「無関心だった」

「子どもの進学や車の買い替え、いろいろ出費が重なって、 私なりにやりくりしてきたつもりだけど、なかなか貯められなかったの」

妻の言葉に、言い返すことができなかった松田さん。「もっと早く、一緒にお金のことを話しておけばよかった……」と後悔の念に駆られました。

「信頼して任せていたつもり」が、実は「無関心だった」ことに、この瞬間初めて気づいたのです。

結婚当初は共働きで、財布も別々だった松田さん夫妻。妻は出産を機に退職し、後に扶養内のパートで働き始めましたが、家計の中心は松田さんの収入でした。松田さんは仕事に忙殺され、お金の管理も苦手。家計は自然と妻に任せるようになっていきました。

松田さんは「妻が貯金してくれているはず」と思っていましたが、月12万円の住宅ローンの返済、2人の子どもの成長とともに増える教育費や生活費、家族旅行や帰省費用、娯楽費も多く、「残った分を貯めていく」という貯蓄スタイルでは、なかなか通帳の残高は増えていきませんでした。

それでも、夫の収入と、一部自分の収入からも補填することでやりくりできていたため、妻が松田さんに相談することはありませんでした。お互いにお金の報告や共有、収支の確認をすることなく、ここまで過ごしてきたのです。