これならできる…食後30分以内の具体的なアクションとは?

立ち歩くだけで筋肉が糖を使い始めるから、血糖値の上昇が緩やかになります。食後はすぐに食器を洗ったり、リビングの床や台所をフロアワイパーで拭いたりすれば、片付けもできて一石二鳥です。食器を洗うときには、かかとの上げ下げをプラスすれば、身体活動量が増えますね」

「それって、“運動”なんですか?」

「身体活動とは簡単に言うと、“体を動かすこと”です。筋肉を使ってエネルギーを消費する。だから立ち歩くことだって立派な身体活動ですよ。ランチ後もすぐに席に戻らず、少し歩くだけで違います」

「わかりました。どれくらいの時間やればいいでしょうか?」

「どれくらいの時間ならできそうですか?」

先生のほうも見抜かれていることに気づいたのか、 思わずお互いにほほえんだ。

「タイミングにもよりそうですが、10分くらいなら……」

「では、毎食後、最低3分間はイスから立ち上がるようにしましょう。それも難しい日は、1分間でいいので実践してみてください」

私が盛っていることに気づいたのか、私の回答よりも少ない時間が設定された。

「できそうですか?」

「はい」

「ほかに聞きたいことはありませんか?」

「血糖値は毎日測ったほうがいいですか? 父は毎食、測っているようなので」

「その必要はありません。インスリン注射を打っている人は、血糖値が下がりすぎる心配があるので、必ず血糖値を測ることになっています。ただ、坂田さんには必要ありません。次の1か月後の受診時に採血をして、血糖値の状態がどのように変わるか確認しましょう」

「わかりました」

「それでは、次回の来院時は普段どおりに食事をしてきてください。お大事に」

〈先生からの処方箋〉
食後30分以内の立ち歩きで血糖値の上昇を緩やかにできる!

大坂 貴史
糖尿病専門医・指導医
総合内科専門医