「自分は大丈夫」と思う心理の落とし穴

投資詐欺の被害に遭ってしまうと、被害にあった金額を取り戻すことは難しいのが現状です。そのため、投資詐欺の被害に遭わないためには、なによりも「避ける」ことが重要です。

あやしい話を避けるためには、以下のようなポイントに注意しましょう。

1. バナー広告はクリックしない/知らない人からのダイレクトメッセージは受け付けない

警察庁の資料によると、SNS型投資詐欺の被害において、最も多い当初の接触手段は「バナー等広告」で、次に多いのがダイレクトメッセージでした。媒体はインスタグラムやフェイスブック、投資サイト、LINE、TikTokなどさまざまですが、あわせて当初の接触手段のうち約76%を占めています。Aさんの場合もURLをクリックしたことで、グループチャットに招待されました。

特に「必ず儲かる」や「あなただけ」、買うべき銘柄を指定しているなど、魅力的なワードを多用している広告やメッセージは絶対に避けるべきです。もし金融商品を法律にもとづいて適切に販売する業者であれば、このようなかたちでの広告はできないはずです。こういったワードを広告に掲載している時点で違法な業者である可能性が高いためです。

2. 相手について調べる

そもそも金融商品を販売したり、投資助言を行ったりするためには、国の登録が必要です。警察庁の資料によると、被害にあった方のうち、自ら銀行口座に振込むことによって被害にあっている方は約88%です。

振込相手は本当に実在していて、国の登録を受けている業者なのか、必ず確認をするようにしましょう。金融商品取引業と暗号資産交換業の登録を受けている業者かどうかは、インターネットで簡単に調べることができます。

著名人との関連性を匂わせる広告の場合は、さまざまな媒体で本人の公式ページを訪問し、本当に本人のものなのか確認しましょう。基本的に著名人が無料でサロンを開いたり、投資話を無料で教えたりすることはありません。なかには、本人のSNSのあらゆる投稿をコピーし、複製のようなアカウントを開設したうえで、投資詐欺に誘導しているケースもあります。SNSによっては、公式ページには認証バッジを付与しているものもあります。

3. ひとりで決めない

SNSは気軽に利用できる情報源であるために、心理的な依存も起きやすいです。お金については「誰かに相談しにくい」と感じる方が多いため、なおさらSNSでの窓口を開いてしまうと、依存しやすくなります。このような構造を理解しないまま、誘われるままにサイトにアクセスし、ひとりで決めてしまうと、大きな被害にあう可能性は高まります。まずは、SNSは心理的な依存が起きやすい構造を理解し、もし「いい話」を見つけたとしても、ひとりで決めないようにしましょう。

老後生活に不安を抱える方はひとりだけではありません。その分、リアルな社会にはさまざまな手段がある可能性がありますから、まずは周りに相談することを思い出してください。

〈参考〉

※警察庁SOS47特殊詐欺対策ページ

https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/

内田 英子
FPオフィスツクル代表
ファイナンシャルプランナー